塗料の調色とは|色を作る方法と色ブレ・追加塗料の注意点
外壁塗装で「この色にしたい」と頼むと、標準色の塗料を選ぶ場合と、指定色に合わせて塗料を調色する場合があります。調色は、希望に近い色を作るための工程ですが、写真の色や古い壁の色と同じ仕上がりを保証するものではありません。どの色を基準に、どの製品で、誰が、いつ必要量を用意するかを決めることで、工事中の色の食い違いを減らせます。
この記事では建築用の外壁塗料について、調色の仕組みと、追加発注で色がずれないようにする確認点を扱います。色見本を使って候補を選ぶ手順はカラーシミュレーションと色見本、完成後に見本と違うと感じた場合の確認は別の記事で説明しています。
「何色」を「どの塗料で作るか」まで揃えて比較
外壁塗装見積ナビで見積もりを依頼する際は、候補の色票番号と使いたい塗料、艶、塗装部位を各社へ伝えましょう。標準色で選べるか、調色が必要か、調色費・納期・追加注文の扱いを同じ条件で比べられます。
調色とは、指定した色に塗料を合わせる作業
調色は、指定された色を目標に、塗料の原色などを配合して色を合わせる作業です。厚生労働省の「第33回技能検定職種の統廃合等に関する検討会」資料には「塗料調色職種の概要」があり、指定した色と容量に合わせる仕事として説明しています。外壁塗装では、メーカーが用意する標準色以外を希望するときや、既存部材に近い色を作りたいときに使われます。
塗装店が現場で白い塗料へ色を足す、という方法だけが調色ではありません。メーカーや塗料販売店が、指定した塗料製品と色票番号などに合わせて調色済みの缶を用意し、施工店へ納める流れがあります。実際の発注先と調色方法は施工店に聞いてください。色票番号が同じでも、上塗り製品と艶が違えば仕上がりの比較条件は揃いません。
| 色を決める方法 | 色の基準 | 見積もりで聞くこと |
|---|---|---|
| メーカー標準色 | 採用製品の色見本帳・色番号 | その製品の標準色か、艶を選べるか |
| 色票番号による調色 | 日本塗料工業会などの色票と版 | 採用製品で再現できるか、調色費と納期 |
| 現物に近づける調色 | 既存部材や持参した見本 | 何を最終基準にするか、試し塗りと許容する差 |
日本ペイントの外壁色に関するFAQは、意匠タイプを除く一般的な外壁用塗料では、標準色以外を指定できると案内しています。ただし、調色品は通常より納期が長くなり、色によっては価格が上がるとも説明しています。すべての製品・色・艶で自由に調色できると考えず、採用する製品の仕様を確認します。
調色は色指定から塗り板の確認までが一続き
塗料の配合だけ見ても、工事で使う色を管理できません。まず最終的な色の基準を決め、その色を予定の塗料で作れるか確認し、必要量と発注期限を決めます。調色後は缶ラベルと塗り板や試し塗りを照合し、承認した内容を色指定書に残します。
- 色の基準を選ぶ:メーカーの色番号か、版を含む日塗工の色票番号、あるいは現物見本を決める。
- 製品との適合を確認する:候補の外壁用塗料で、その色と艶が作れるか施工店がメーカー・販売店へ確認する。
- 必要量と納期を決める:壁の面積、塗装回数、補修分を見込み、発注量と色変更の期限を示す。
- 調色品を受け取って照合する:製品名、色番号、艶、数量、缶ラベルを発注記録と比べる。
- 実物で承認する:指定した塗料の塗り板や試し塗りを、決めた条件で確認してから広い面を塗る。
日本ペイントの建築用色見本帳の案内は、見本帳にその製品で再現できる色と色番号が記載されると説明しています。別製品の見本番号や画面のRGB値だけを伝えても、その塗料で同じように仕上がるとは限りません。日本塗料工業会のカラー検索システムも、掲載するRGB値は画面上の色表示のための情報で、ペイントソフトへ入力して色を作る用途には使わないよう説明しています。塗料の発注は、採用製品に対応する色票と実物の見本で確認します。
色番号を決めた後に上塗り製品を変える場合は、前の製品で承認した塗り板をそのまま新製品の完成基準にしないでください。新しい製品で調色できるか、艶が同じか、塗り板を作り直すかを確認します。日塗工の色票で指定する場合は、同工業会の注意事項に従い、発行年度記号を含む番号を発注書に残します。
調色機があっても仕上がりの確認は必要
調色機やコンピューター調色は、目標色に合わせるための配合や計量を助ける道具です。たとえば関西ペイントの建築用塗料の案内には店頭用の缶内調色システムがあり、日本ペイントの建築用塗料カタログにも即納店頭調色システムが掲載されています。調色をメーカー工場へ頼むか、販売店の店頭で行うかは、製品と販売経路によって違います。
機械で原色を正確に計量しても、写真から読み取った色の曖昧さや、塗る面の材質、艶、光の違いは消えません。機械の有無だけで施工店を選ぶのではなく、基準となる実物をどう確認し、承認するかを比べます。自動車補修用の測色機や調色システムの性能を、住宅外壁の調色精度としてそのまま説明することも避けます。
既存の雨樋や玄関周りへ色を近づけたい場合は、どの部材のどの面を基準にするかを決めましょう。日焼けした壁、日陰の壁、補修後の新しい塗膜では色が異なります。現物に近づける調色なら、色見本と同じく、屋外で見た塗り板を最終基準とし、許容する見え方の差を事前に相談します。
色ブレは色票の版・製品・ロット・塗り方を分けて見る
「同じ番号なのに色が違う」というとき、原因をすべて調色の失敗と決めることはできません。色票の版、選んだ塗料、艶、製造・調色の単位、塗り方、光の条件が関係します。日本塗料工業会の注意事項は、旧版と新版で同じ番号でもわずかに違う色があること、光源によって色が違って見える現象があることを案内しています。
| 色がずれて見える場面 | 発注前・施工中に残す記録 |
|---|---|
| 旧版の色票で指定した | 色票の発行年度記号と最終承認した現物 |
| 途中で製品や艶を変えた | 製品名、艶、作り直した塗り板 |
| 途中で別の調色缶を追加した | 元の缶と追加缶の発注情報、ロット、塗る面の分け方 |
| 部分補修を刷毛で行った | 元の施工方法、希釈と補修範囲 |
| 日なたと日陰で比べた | 比べた位置・時刻と乾燥後の状態 |
メーカーの施工資料にも、補修時の色差への注意があります。たとえば関西ペイントのアクアセラシリコンOneカタログは、補修用に使用塗料の控えを取り、同一塗料・同一ロット・同一塗装方法を勧めています。また刷毛による補修はローラー塗装との肌や希釈率の違いで色相差が生じると説明しています。これは同製品の注意であり、全製品の保証条件ではありませんが、追加調色や部分補修を計画するときにロットと施工方法を聞く理由になります。
同じロットを用意しても、施工時期が離れた壁では既存塗膜の変退色が進みます。数年後の部分補修を「同じ色番号だから境目が見えない」と約束することはできません。完成後に色が違うと感じた場合の原因調査と是正範囲は、見本と違うときの記事で扱います。
追加の塗料が必要になったときは発注条件を照合する
塗装途中で調色品が足りなくなったら、手元の缶へ別の色を足す前に、当初の発注書、缶ラベル、塗装済みの範囲、残量を施工店に確認してもらいます。追加缶は同じ色票番号でも、製品、艶、調色の発注先、ロットが揃っているかを確認します。必要量の再計算と追加の納期、費用負担もこの時点で決めます。
特に外壁の一面の途中で材料が変わる場合は、境目が目立たないよう、どこからどこまでを追加材料で塗るかを施工店に計画してもらいます。既に塗った箇所の上へ別の材料を部分的に重ねるなら、仕上げの色・艶と塗装仕様を確認します。複数缶を無条件に混ぜる、現場で目分量の色を足すといった対応は、採用塗料の施工条件を確かめずに進めないでください。
調色品は標準色より納期が長くなることがあるため、色の承認が遅れたり、追加注文が必要になったりすると工程にも影響します。追加費用がかかる条件は、施工店による数量の見込み違いか、施主の色変更か、壁の追加工事かで異なります。契約前に、何が追加発注の対象になり、誰が差額を承認するかを決めておくと比較しやすくなります。
色の候補そのものを決める段階では、外壁色の選び方も参照してください。調色を頼む段階では、決めた色をどの製品・艶・色票の版で発注するかまで記録します。
見積もりでは調色の費用と色の承認手順を比べる
同じ「グレーに調色」の提案でも、一社は採用製品の標準色、別の一社は特注色を見込んでいる場合があります。見積もり総額の差を見る前に、各社へ同じ色票と塗装範囲を渡し、どの段階で色を確定し、誰が発注するかを揃えます。
| 比較項目 | 施工店に確認すること |
|---|---|
| 塗料と色 | メーカー・製品名、標準色か調色品か、色票の版を含む番号 |
| 艶と部位 | 外壁、付帯部、屋根それぞれの艶と塗り分け位置 |
| 調色先 | メーカー・販売店など発注先と調色方法、採用製品への適合 |
| 色の承認 | 塗り板や試し塗りの有無、費用、承認後の変更期限 |
| 材料と追加注文 | 予定数量、補修分、追加注文の単位・納期・費用負担 |
| 工事後の記録 | 缶ラベル、色指定書、使ったロット、残材の扱い |
日本ペイントは標準色以外の調色について、色によって価格が上がり得ると案内しています。したがって「調色費は必ず無料」「濃い色は必ず同額」とは言えません。各社が同じ製品・色・艶・数量で見積もっているかを確かめ、調色費と塗り板作成費を税込総額のどこに含めたかを聞きましょう。
よくある質問
塗装屋が現場で色を混ぜるのが調色ですか?
現場で微調整する作業だけを指す言葉ではありません。メーカーや塗料販売店が、指定した製品と色票番号に合わせて調色した缶を納入する場合もあります。施工店に調色の依頼先、発注書に載せる製品・色番号・艶を確認し、承認した塗り板とつながる記録を残してください。
調色機があれば写真と同じ色を作れますか?
調色機は原色の配合や計量を助けますが、写真の色は撮影時の光や画面設定に左右されます。写真を色の方向を伝える資料に使い、最終的には採用する塗料の実物見本と色票番号、艶で承認します。現物に近づける場合も、何を比較基準にするかを先に決めます。
日塗工の色票番号だけ伝えれば同じ色になりますか?
日塗工は色の発注で版を示す年度記号を含む番号を勧めています。番号に加え、どの塗料製品で、どの艶にするかも指定してください。製品によって調色できる範囲が違い、塗り板と大きな外壁では見え方も変わります。番号は共通の出発点ですが、完成色の確認には実物見本が必要です。
途中で塗料を追加すると色ブレしますか?
必ず色ブレするわけではありません。ただし、追加缶の製品・艶・調色先・ロットと、元の缶の情報を照合する必要があります。同じ色でも塗り方や下地条件による見え方の差があるため、施工店に追加材料をどの面で使うか、仕上げをどう確認するかを聞きましょう。
調色費は見積書のどこで確認できますか?
上塗り材の単価に含む場合と、調色や塗り板の作成を別に計上する場合があります。採用製品の標準色か調色品か、色の承認後に変更したときの再発注費用、納期への影響を施工店に聞き、各社で同じ条件をそろえてください。
まとめ
塗料の調色は、指定色に合わせて原色を配合し、採用する塗料の色を作る工程です。建築用塗料にはメーカー標準色と調色品があり、色票番号、版、製品、艶を揃えて発注することが大切です。調色機の有無だけでは、写真や古い壁の色との一致は判断できません。
工事中に塗料を追加するときは、当初の発注内容と缶ラベルを照合し、追加分の納期・費用・塗る面を確認します。色の承認と記録の残し方まで、見積もり段階で比べましょう。
調色の方法と追加注文の扱いを同じ条件で確認
外壁塗装見積ナビで見積もりを取る際は、希望する色票番号と版、採用製品、艶、塗装部位を各社に伝え、調色費・塗り板・納期・追加塗料の条件を記載してもらいましょう。