屋根材の種類|スレート・瓦・金属の見分け方と塗装判断
「うちの屋根は瓦です」と伝えても、それが焼き物の粘土瓦か、セメント系の瓦型屋根材かで塗装の判断は変わります。屋根材の名前と商品名を特定し、表面だけでなく本体・下地の状態を調べることが、適切な見積もりの出発点です。屋根の色や形だけで、塗れる材料だと決めないでください。
この記事では主な屋根材を見分ける手掛かり、塗装を検討できる条件、見積書で施工店ごとの提案を比べる項目を整理します。切妻・寄棟・片流れなど屋根の形は材料とは別の項目として伝えてください。屋根塗装全体の金額は屋根塗装の費用を参照してください。
屋根材と下地の診断をそろえて見積もりを比較
外壁塗装見積ナビで見積もりを依頼する際は、建築時の図面、屋根材の商品名、屋根の各面の写真を各社へ渡してください。塗装の可否、下地処理、補修が必要な範囲を比べられます。
屋根材の主な種類と塗装の考え方
戸建ての屋根は、住宅用化粧スレート、金属、粘土瓦、セメント系瓦、アスファルトシングルなどに分けられます。同じ「黒い屋根」でも、塗膜で色を付けた材料と、焼き締めて色を出した材料では手入れが違います。次の表は種類を知る入口であり、写真だけで個別製品を確定する診断表ではありません。
| 屋根材 | 見分ける手掛かり | 塗装を考える前に確かめること |
|---|---|---|
| 住宅用化粧スレート | 薄い板状の材料を重ねて葺く。コロニアルなどの商品名がある | 商品名と製造時期、割れ・層状の剥がれ、重なり部の排水 |
| 金属屋根 | 板金の継ぎ目や折り返しがあり、塗装鋼板などが使われる | 鋼板の種類、既存塗膜、さび・穴あき、固定部と端部 |
| 粘土瓦 | 陶器瓦・いぶし瓦など、焼き物として作られる | 瓦の割れ・ずれ、棟、漆喰、下葺材。通常の表面塗装は不要 |
| セメント系瓦 | 瓦形でもセメントを主材料とする製品がある | 商品名、旧塗膜や表面層の状態、専用の下地処理と塗料 |
| アスファルトシングル | シート状の材料に粒状石を施したものがある | 商品名、めくれ・浮き・粒状石の状態、製品に合う補修方法 |
さらに瓦に見える金属製やセメント系の製品もあります。ケイミューは建築基準法上の屋根の重さの区分について、瓦のような形でも、重量が軽い屋根材であれば軽い屋根に分類されると考えられると説明しています。瓦の形をした屋根材にも、重さや材料の異なる製品があるということです。施工会社による呼び名が「瓦」「スレート」「コロニアル」のどれでも、見積書には製品名と現在の状態を書いてもらいましょう。
コロニアルは屋根材の種類ですか
「コロニアル」は一般的な素材名ではなく、ケイミューのカラーベスト系列に含まれる商品名です。同社の「コロニアルクァッド」の製品ページは、一般名称を平形屋根用スレートと記載しています。会話で「コロニアル屋根」と呼ぶ家でも、実際に葺かれた商品がクァッド、グラッサ、別世代の製品かは図面や施工記録で確認する必要があります。
化粧スレートでは、表面塗膜の劣化と、屋根材本体の割れ・層状剥離を分けて見ます。同社の維持管理資料は、同社のスレート屋根材について「表面の色が薄くなったり、汚れがついた場合でも屋根材としての基本性能は問題ありません」とし、美観の維持・向上には再塗装を案内しています。同資料には部分補修や塗り替えが選択肢として示されていますが、これは基材が傷んだ屋根も塗れば直るという意味ではありません。屋根材が広く割れている、何層にも剥がれている場合は補修・交換案を先に検討します。製品別の症状はスレート屋根の塗装とスレート屋根の寿命で詳しく説明しています。
塗装する場合、上下の板が重なる部分の排水を塞がない施工も必要です。見積書で「スレート用塗料」と書かれていても、既存材の補修、下塗り、重なり部の確認が含まれているかを確認してください。
金属屋根は鋼板の種類とさびの深さを調べます
金属屋根には塗装鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板などがあります。「トタン」「ガルバリウム」と呼ばれていても、外観だけでめっきの種類や前回塗った塗料を確定するのは難しいため、建築時の仕様書と前回工事の記録を見ます。トタン屋根の塗装手順はトタン屋根塗装で扱っています。金属屋根でも、色あせた表面を塗り直す案と、腐食した部材を交換する案では目的が違います。
日本ペイントは鋼板屋根向けの塗料と、下地に応じた下塗り材を分けています。さびを残したまま塗り重ねると防食効果を十分に得にくいため、施工店へさび落としの範囲、下塗り材の製品名、重ね部・切断端部の処理を尋ねましょう。さびで穴が開いた、固定が弱い、雨漏りがある場合は、表面塗装だけで直るとは判断できません。
特に棟、軒先、雪止め、留め具の周りは、平らな屋根面とは劣化の出方が異なります。施工店に各面の写真と近景を撮ってもらい、塗装・部分交換・板金補修の範囲を色分けしてください。詳しい塗装判断はガルバリウム屋根の塗装で扱っています。
粘土瓦とセメント系瓦を混同しません
陶器瓦は粘土を成形し、釉薬をかけて焼き締める製品です。愛知県陶器瓦工業組合の資料は、陶器瓦は塗装による色付けではないため、表面の定期塗装を必要としない一方、野地板・下葺材・棟の漆喰は点検と必要な手入れを行うよう案内しています。対してセメント系の瓦型屋根材には、表面層や塗装で仕上げた製品があり、陶器瓦の手入れ方針は当てはまりません。
瓦が割れた、ずれた、棟が傷んだ場合は、種類を問わず補修が先です。瓦の種類ごとの塗装の要否は瓦に塗装は必要?、セメント系の瓦の塗装はセメント瓦塗装の費用と時期で詳しく説明しています。
アスファルトシングルは製品と固定状態を確認します
アスファルトシングルは、アスファルトを用いたシート状の屋根材で、表面に粒状石を施した製品があります。ニチハは「アルマ」の粒状石の落下を、アスファルトシングル特有の現象で、製品の異常ではないと説明しています。一方、同社のメンテナンス案内は、点検項目に「過度な石落ち(基材アスファルトが露出するような状態)」を挙げています。粒が少し落ちたという観察だけで屋根全体に再塗装が必要と判断せず、基材が見えるほど落ちているかを目安に施工店へ確認してもらいましょう。
めくれ、浮き、欠損、接着部の状態を調べ、製品の補修方法を先に確認します。塗装を検討するなら、アスファルトシングルに適合する製品か、表面の粒状石にどう付着させるかを施工店へ聞いてください。一般の金属屋根やスレート向け塗装仕様をそのまま使わず、製品名と見積もりの工程を照合します。詳しくはアスファルトシングル屋根の塗装を参照してください。
アスファルトシングルと、屋根材の下に敷くアスファルトルーフィングも別物です。後者は雨水を防ぐ下葺材で、表面の屋根材を塗っても破れた下葺材を直すことはできません。日新工業はルーフィングを屋根下葺材として説明しています。
見た目だけで特定できないときの調べ方
屋根へ上がって裏面や刻印を探す必要はありません。地上から見える形と色は候補を絞る材料にとどめ、建築時の仕様書、確認図面、保証書、前回工事の見積書、余った材料のラベルを探しましょう。屋根材のメーカーと品番が分かると、塗装仕様や交換部材を確認できます。
書類がない場合は、施工店に地上からの望遠写真や高所カメラなどで全景、各面、棟、傷みの近景を撮ってもらいます。表面だけでは特定できないときは、どの候補を想定し、何を追加確認すれば決められるか説明してもらいましょう。塗装を前提とする会社と交換を勧める会社で判断が分かれたら、製品の特定方法と傷みの証拠を並べて比較します。
新築時と違う屋根材を後から重ねている家では、見える材料の下に旧屋根材が残ることもあります。表面の写真だけで葺き替え時の撤去・処分費を出せないため、改修履歴を各社へ渡してください。塗装と屋根の更新を比べる際は屋根塗装とカバー工法で工事範囲を確認できます。
屋根材別の見積もりは下地処理と補修を比べます
同じ屋根面積でも、材料が違えば洗浄、補修、下塗り、塗装の可否が変わります。各社に「屋根材は何か」「なぜ塗装で維持できると判断したか」を示してもらい、総額の前に工事内容をそろえてください。粘土瓦を塗らない提案と、セメント系瓦を塗る提案は、同じ土俵の価格比較にはなりません。
| 比較項目 | 見積書と調査資料で確認すること | 答えが違う場合の質問 |
|---|---|---|
| 屋根材の特定 | 材料の分類、メーカー・商品名、根拠となる図面か写真 | 外観以外に何で確認しましたか |
| 塗装可否 | 本体の割れ・剥離・腐食・浮きと下地の状態 | 塗装で直らない箇所はどこですか |
| 下地処理 | 洗浄、旧塗膜・さび・粒状石の扱い | 省略または追加する工程の理由は何ですか |
| 材料と塗装工程 | 下塗り・上塗りの商品名、回数、適用下地 | その屋根材との適合を示す資料はありますか |
| 役物・防水 | 棟、谷、端部、重なり、下葺材の調査 | 板金や下葺材を直す場合は別見積もりですか |
| 代替案 | 部分交換、カバー工法、葺き替えの範囲 | 塗装案と比べて何を直せますか |
下地処理が異なる二社を㎡単価だけで比べず、補修と足場を含む税込総額を確認します。屋根材の破損が広い場合は、塗装案だけでなく、カバー工法や葺き替え案の条件も聞いてください。葺き替えの費用は屋根の葺き替え費用で確認できます。工法の適用は屋根材と下地、形状で変わります。屋根の形による棟・谷や足場の数量も合わせて確認しましょう。
よくある質問
屋根材の名称は、見た目に似た別素材や、製品名と一般名が混ざりやすい分野です。見積もりの前に、種類の呼び方と塗装の目的を整理します。
コロニアルとはどんな屋根材ですか
ケイミューのカラーベスト系列に含まれる屋根材の商品名です。例えば「コロニアルクァッド」の一般名称は平形屋根用スレートです。ただし「コロニアル」とだけ聞いて、自宅に使われた世代や製品を特定することはできません。図面・保証書や施工記録で商品名を確認し、屋根材の状態とともに塗装可否を判断します。
瓦屋根はすべて塗装しなくてよいですか
いいえ。「瓦」には粘土瓦とセメント系の瓦型屋根材があり、セメント系では製品に応じて塗装を検討します。どちらも割れ・ずれ・棟・下葺材の点検は必要です。瓦の見分け方と塗装の要否は瓦に塗装は必要?を参照してください。
金属屋根なら色あせたときに塗れば十分ですか
色あせだけなら再塗装を検討できますが、さびの深さ、穴あき、固定部、下地を先に調べます。腐食した部材や傷んだ下葺材は表面塗装では直りません。見積書には下地処理と下塗り材、補修・交換する箇所を分けて書いてもらいましょう。前回塗装の記録があれば適合の判断に役立ちます。
アスファルトシングルの粒状石が落ちたら塗装しますか
粒状石の落下だけで塗装が必要とは言えません。ニチハのアルマでは、粒状石の落下をアスファルトシングル特有の現象で、製品の異常ではないと説明しています。基材アスファルトが露出するほどの石落ちは点検項目です。製品名、落下の範囲、めくれや浮き、固定部の状態を合わせて調べてください。補修・交換が必要な症状なら、一般の屋根用塗料で覆う前にその工事を検討します。
屋根材の種類が分からなくても見積もりを依頼できますか
依頼できます。建築時の図面や保証書があれば渡し、なければ各方向の写真と前回工事の記録を用意してください。施工店ごとに屋根材の分類が違ったら、現地写真のどの特徴と何の資料で判断したか尋ねます。屋根へ自分で上がって確かめる必要はありません。塗装できるという結論だけでなく、その根拠を比べましょう。
まとめ
住宅の屋根材には、化粧スレート、金属、粘土瓦、セメント系瓦、アスファルトシングルなどがあります。「コロニアル」は製品名であり、「瓦」は複数の材料を含む呼び方です。見た目だけで塗装の要否を決めず、型番と本体・下地の状態を確認しましょう。
見積もりを比べるときは、塗装㎡だけでなく、材料に合う下地処理、傷んだ部材の補修、下葺材や役物の調査を確認します。塗装で直らない部分があるなら、部分交換や屋根改修の案も並べてください。
屋根材の特定から工事の範囲を比較
外壁塗装見積ナビで見積もりを取る際は、屋根材の商品名が分かる資料と写真を渡してください。塗装できる根拠、下地処理、補修と交換の範囲を各社から聞き、同じ条件で比べられます。