レンガ調サイディングの塗り替え|柄を残す方法と塗りつぶす判断
レンガ調の外壁を塗り替えるときは、最初に残したいのが印刷された色柄か、板の凹凸かを決めましょう。透明な塗料なら既存の色柄を見せられますが、退色や補修跡も透けます。色付き塗料では色を変えられる一方、全面を単色で塗るとレンガと目地の色分けは消えます。凹凸がある板なら、2色塗りでレンガ面と目地の見え方を分ける方法もあります。
この記事は、レンガ柄が印刷・塗装された窯業系サイディングを対象に、仕上げの選択と見積もりの比べ方を説明します。焼いたレンガを積んだ外壁やレンガタイルの補修はレンガ外壁のメンテナンスをご覧ください。
残したい柄と変えたい色を写真で伝える
外壁塗装見積ナビで見積もりを依頼するときは、外壁全景、色あせた面、目地と板の近景を各施工店に渡しましょう。クリヤー、2色、多彩、単色のうち施工できる案と、試し塗り・補修・目地改修を含む範囲を比べてください。
レンガ調の「柄」と「凹凸」は別のものです
レンガ調サイディングには、板の表面にレンガの起伏を付け、その上へ複数の色や濃淡を施した製品があります。近くで見ると、盛り上がったレンガ面と沈んだ目地のほか、表面に印刷された焼きむらのような色の違いが分かります。塗り替えで残せる要素は工法ごとに異なります。
| 仕上げ | 既存の色柄 | 板の凹凸 | 完成後に確認したいこと |
|---|---|---|---|
| クリヤー塗装 | 透けて残る | 残る | 退色・補修跡・艶の見え方 |
| 2色塗り | 新しい2色に変わる | 色分けに使える | レンガ面と目地の境界、色の付け残し |
| 多彩仕上げ | 新しい複数色の模様に変わる | 製品・工法による | 粒状感、目地との見分け、近景と遠景 |
| 単色塗装 | 塗りつぶされる | 残る | 凹凸だけでレンガらしく見えるか |
塗料メーカーのエスケー化研は、サイディングの凹凸を使った2色仕上げや、多色の意匠を付ける仕上げを紹介しています。
編集部として注意したいのは、こうした仕上げは新しい色で表情を作るものであり、既存の印刷柄を新品時と同じ形で描き直すものではないという点です。選ぶ前に、現物のどの模様が凹凸で、どの模様が表面の色なのかを施工店と一緒に確かめてください。
柄がきれいならクリヤー塗装で既存色を残せます
レンガ面の濃淡や目地の色をそのまま見せたい場合は、透明なクリヤー塗装が候補です。ニチハも窯業系サイディングのメンテナンス案内で、既存の色柄を残す塗り替えとしてクリヤー塗装を挙げ、同社の全商品(メモリアのホワイトと現場塗装仕上げの製品を除く)でクリヤー塗装の再塗装が可能としています。ただし、表面の劣化状況によってはクリヤーではなくエナメル塗装(単色仕上げ)になることもあると断っています。色を新しく付けないため、条件が合えばレンガ調の細かな印刷模様を隠さず保護できます。
一方、南面だけ赤茶色が薄い、板の角に欠けを埋めた跡がある、部分交換した板の色が違うといった状態は、透明な塗膜越しに塗装後も見えます。クリヤーで色あせが戻るか、どの劣化なら適用できないかといった一般的な判断は、外壁のクリヤー塗装で詳しく説明しています。
一部のサイディングには、表面に特殊な加工をした製品があります。日本ペイントは、一般の外壁用塗料では付着しにくい素材として、セラミックコートのほか、ふっ素樹脂・親水化処理・光触媒で表面加工した板を挙げています。セラミックコート品は同社指定の下塗りを使えばクリヤー以外の塗料で塗り替えが可能とする一方、光触媒加工品は剥がれのおそれがあるため塗装を避けるよう案内しています。外壁材のメーカー・品番と採用する塗料の適用下地を照合し、必要なら目立たない面で付着と色の見え方を試してください。
色を変えつつレンガらしさを残すなら2色・多彩仕上げを比べます
既存の印刷柄が退色していても、レンガ面と目地の凹凸がはっきり残っていれば、2色塗りを検討できます。目地側の色を先に塗り、出っ張ったレンガ面へ別の色を載せるなど、採用する製品の仕様に沿って仕上げます。例えば赤茶色のレンガ面と淡いグレーの目地、グレーのレンガ面と明るい目地なら、単色より境界が分かりやすくなります。レンガ面と目地の段差が浅い板では色が混ざって見えるため、実際の板で試す必要があります。
多彩仕上げは、複数色の粒や模様を加えて、単色より複雑な表情を作る方法です。エスケー化研の高意匠性塗材には2色仕上げと多彩仕上げの両方があり、仕上がり見本も異なります。「多彩色」と書かれているだけで、現在のレンガの焼きむらや目地の色分けまで再現できると考えないでください。塗装見本は小さな板だけでなく、目地を含む実壁で、離れた位置からも確認しましょう。
2色塗りや多彩仕上げでは、色を重ねる工程と職人の作業範囲が単色塗装と違います。見積書に仕上げ名だけがあると、目地を色分けするのか、レンガ面に粒状模様を付けるのか分かりません。施工順、使用製品、色の数、試し塗りの面積を文書で確認してください。
単色塗装は印刷柄を隠し、凹凸だけを残します
板の色あせや補修箇所が広く、透明では仕上がりがそろわない場合は、単色塗装も選択肢です。エスケー化研も、色を変える塗り替えでは多色模様のサイディング下地も同一色となり、新築時と全く異なる意匠になると説明しています。白、グレー、濃い茶色などに全面を塗ると、既存のレンガ面と目地の色差は覆われます。太陽光の当たり方で板の凹凸は見えますが、平らな面に印刷された細い目地や焼きむらは塗りつぶされます。凹凸の浅い板なら、完成後の印象が「レンガ調」より単色の外壁に近づくことがあります。
色を変えること自体が目的なら、施工範囲と塗料の仕様を合わせて比較しやすい方法です。ただし、見た目を一色にするだけで、板の反りや割れ、シーリングの傷みまで直るわけではありません。塗装前に下地補修を分けて見積もってもらいましょう。一般的な窯業系サイディングの塗り替え時期と費用はサイディング塗装の費用相場と時期にまとめています。
グレーやツートンは小さな色見本だけで決めないでください
レンガ調の外壁をグレーに変える場合、まず板全体を灰色にするのか、レンガ面を濃いグレー、目地を淡いグレーに分けるのか決めます。同じ「グレーのレンガ調」でも、色の差が小さいと遠目には一色に見え、差が大きいと目地の線が強調されます。屋根・サッシ・雨樋の色も一緒に写した写真で候補を比べましょう。
建物全体をツートンにする場合は、レンガ調部分を玄関周りや一階に限定し、ほかの壁を白や落ち着いた色にする設計もあります。これは壁面どうしの色分けです。一枚のレンガ調サイディングのレンガ面と目地を2色に塗る工法とは、工事範囲も見積書の書き方も違います。平屋のように横へ長い外観では、色の切り替え線が長く見えるため、雨樋や板の継ぎ目など、切り替え位置を立面図で確認してください。
シミュレーションは全体の配色を絞るのに役立ちますが、艶、粒の大きさ、目地の陰影は画面や印刷物だけでは分かりません。色見本を日なたと日陰で見たうえで、できれば実壁の目立たない場所に試し塗りをしてもらいます。試験面を残せない場合は、同じ製品・同じ板柄の施工例を近景と遠景で確認してください。
塗る前に板の傷みと目地を調べます
塗装で覆えるのは主に表面の色と塗膜です。板が大きく反っている、層が剥がれている、割れから水が入っている場合は、塗装だけで済ませる前に板の補修・部分交換を検討します。部分交換した板が既存と同じ柄・色で手に入らなければ、透明仕上げでは差が残ります。交換面だけ単色にする案や、面全体を着色する案まで比べてください。
板間や窓周りのシーリングも点検します。目地材の色と塗装の順序によって、完成後に目地が目立つことがあります。レンガ模様の中にある印刷された目地と、板同士の継ぎ目を埋めるシーリングは別です。特にクリヤー塗装では継ぎ目の色を隠せないため、見本のレンガ目地とシーリング色を隣り合わせで確認しましょう。
見積書では色の数より施工する面と工程を確認します
同じ「レンガ調を残す」提案でも、透明な塗料を塗る案と、2色で新たに模様を付ける案では完成形が違います。比較する際は施工店へ同じ現況写真と希望する仕上がりを渡し、提案ごとに次の項目をそろえます。
| 確認項目 | 見積書・提案書で見ること | 違いがあるときに聞くこと |
|---|---|---|
| 外壁材と状態 | 材質・メーカー・品番、退色・粉化・反り・欠けの位置 | クリヤーを使える根拠と試験の要否 |
| 仕上げ面 | クリヤー、2色、多彩、単色を使う壁面と面積 | 壁の境界と色の切り替え位置 |
| 使用製品 | 下塗り・上塗り・意匠仕上げの正式名と塗り回数 | 特殊表面への適合とメーカー仕様 |
| 試し塗り | 実壁・目地を含む試験面の場所、色、艶 | 完成像をいつ誰が承認するか |
| 下地と継ぎ目 | 板補修・交換、シーリングの工法・延長・色 | 透明仕上げで補修跡がどこまで見えるか |
| 費用と記録 | 工法別の施工面積、足場・養生、税込総額、完成写真 | 工程の差がどの項目に反映されているか |
例えば一社がクリヤーを提案し、別の会社が2色塗りを提案したなら、先に現在の柄を残せる状態かを確認します。提案理由が違うまま総額だけを比べても、判断材料にはなりません。試験面の承認後に仕様を確定し、色の塗り分け線や部分交換後の色差も記録してもらいましょう。
よくある質問
レンガ調の塗り替えでは、「柄を残す」という言葉が既存色を残す意味か、凹凸を使って新しい柄を作る意味かを確認すると、施工店との行き違いを減らせます。
レンガ調サイディングを単色で塗ると、どこまでレンガらしさが残りますか
残るのは板の凹凸による陰影です。表面に印刷されたレンガの濃淡や、平らな部分に描かれた細い目地の色分けは隠れます。レンガ面と目地の段差が深い板なら、光の当たり方で形が分かりますが、段差が浅い板では遠目に単色の外壁へ近づきます。北面や日陰の壁は陰影が弱く見えるため、日当たりの違う面で試し塗りを見比べましょう。
部分交換した板だけ柄や色が違う場合はどう仕上げますか
交換した新しい板は周囲の板ほど色あせていないため、色味がずれやすく、同じ品番が手に入らなければ柄も変わります。クリヤー塗装ではその差が透けて残るため、交換した面だけ目立つことがあります。差を許容してクリヤーで残す、交換板を含む面全体を2色や単色で着色する、といった案を並べ、どの面まで塗り分けるかを立面図で示してもらいましょう。交換前に、既存板の品番と在庫の有無を施工店へ確かめておくと選択肢を絞れます。
レンガ面と目地を別の色に塗れますか
板の凹凸を使ってレンガ面と目地側を塗り分ける工法があります。ただし、目地が浅い板や凹凸が不規則な板では境界がそろわず、印刷された細い線まで塗り分けることもできません。施工店に採用製品の仕様を示してもらい、実際の板と目地を含む試験面で、近くからと離れた位置からの両方の見え方を確認してください。
レンガ調の外壁をグレーにすると単色に見えますか
全面を同じグレーで塗れば色の差は消えますが、レンガ状の凹凸がある板なら陰影は残ります。レンガ面を濃いグレー、目地を淡いグレーに分けると、形が分かりやすくなります。仕上がりは板の凹凸の深さと光の向きで変わるので、色票だけで判断せず、目地を含む大きめの試験面と建物の全景で比べましょう。
多彩仕上げなら新築時のレンガ柄を再現できますか
多彩仕上げは複数色の粒や模様で単色より変化を付ける方法ですが、メーカーが工場で付けた印刷柄の復元を保証する工法ではありません。粒状感や色の重なり、目地との境界は製品と施工方法によって異なります。既存の写真と塗装見本を並べ、特に補修した場所や色が変わる角の見え方を契約前に確認してください。
板に反りや割れがあっても上から塗れますか
反りや層の剥がれ、大きな割れは、塗膜だけで直せません。雨水の侵入や固定の状態も調べ、補修・部分交換・張り替えの範囲を施工店に示してもらいましょう。下地工事と仕上げの案を別々の見積もり項目にすれば、見た目と補修費用を合わせて判断できます。
まとめ
レンガ調サイディングの塗り替えは、既存の色柄を透かすクリヤー、凹凸を使う2色、新しい模様を付ける多彩、印刷柄を覆う単色で完成形が変わります。まず外壁材の種類と板の状態を確かめ、残したい要素を写真で伝えましょう。
試し塗りではレンガ面だけでなく目地と補修箇所を含め、近景と建物全景の両方で確認します。見積書は仕上げ面積、使用製品、板とシーリングの補修、試験面をそろえて比べてください。
工法ごとの完成像と工事範囲をそろえる
外壁塗装見積ナビで見積もりを取る際は、希望する柄と色、外壁材の品番が分かる資料を各施工店へ渡しましょう。クリヤー・2色・多彩・単色の可否と、試し塗り、下地補修、目地改修を含む税込総額を確認してください。