3階建ての外壁塗装費用|面積の出し方・足場の安全基準
3階建ての外壁塗装は、同じ延床面積の2階建てより見積額が高くなりやすい工事です。理由は大きく二つあります。一つは、床面積に対して外壁の面積が大きくなること。もう一つは、足場が高くなり、安全対策や周囲への落下物対策が増えることです。
この記事では、延床30坪の2階建てと3階建てを同じ前提で試算し、外壁面積と足場の差を示します。そのうえで、高さによって法令上の安全措置がどう変わるか、道路や隣家に近い3階建てで必要になる対策と手続き、見積書で確認すべき項目を整理します。敷地が狭く隣家との隙間が少ない場合の足場と隣地使用は、狭小住宅の外壁塗装で詳しく扱っています。
3階建ては高さと周囲の条件を伝えて見積もりを取る
外壁塗装見積ナビで見積もりを依頼する際は、3階建てであること、前面道路の幅、隣家との距離、屋上やバルコニーの有無を伝えましょう。外壁と足場の㎡数、安全対策の内容を施工店ごとに比べやすくなります。
3階建ての外壁面積は立面ごとに計算する
3階建ての費用を見積もるときに最初に確かめたいのが、外壁の塗装面積です。延床面積に一定の係数を掛けて外壁面積を推定する方法もありますが、この方法は2階建てを想定していることが多く、3階建てでは実際との差が大きくなります。正確に出すには、東西南北の各面について「幅×高さ」を計算し、窓や玄関など塗らない部分を差し引きます。
次の表は、延床約30坪(約99㎡)の家を総2階と3階建ての2通りで仮定した編集部の試算です。実在の住宅や施工店の見積もりではなく、数量の差を示すための計算例です。
| 仮定と数量 | 総2階 | 3階建て | 3階建て÷総2階 |
|---|---|---|---|
| 1フロアの平面 | 7.0m×7.0m=49㎡ | 5.0m×6.6m=33㎡ | 約0.7倍 |
| 外周の長さ | 28.0m | 23.2m | 約0.8倍 |
| 地面から軒までの壁の高さ | 約6.0m | 約9.0m | 1.5倍 |
| 外壁の塗装面積(窓などを除く) | 約143㎡ | 約179㎡ | 約1.25倍 |
| 足場の高さ(軒の約1.5m上まで) | 約7.5m | 約10.5m | 1.4倍 |
| 足場の面積(建物から約1m離して組む) | 約270㎡ | 約328㎡ | 約1.2倍 |
外壁面積は、外周×壁の高さから窓や玄関の面積(総2階25㎡、3階建て30㎡と仮定)を差し引いた値です。足場の面積は、建物から約1m離して組む前提で、足場の外周の長さに足場の高さを掛けて求めています。
この試算では、床面積が同じでも3階建ての外壁は約1.25倍、足場は約1.2倍になります。1フロアが小さく縦に長い3階建ては、床面積あたりの外壁が多い形だからです。実際の家では、バルコニーの内側、屋上の手すり壁(パラペット)、階段室の出っ張りなども塗装面積に入ることがあります。見積書の外壁㎡数が施工店ごとに違う場合は、こうした部分を含めたかどうかを確認しましょう。塗装面積と平米単価の関係は外壁塗装の平米単価の相場、延床15坪の平屋と3階建てを仮定単価で比べた計算は外壁塗装15坪の費用で紹介しています。
高さで変わる足場の安全基準
3階建ての足場では、高さに応じて法令やガイドラインで求められる安全措置が増えます。施主が足場を組むわけではありませんが、見積書の足場費用に何が含まれるのかを理解する手がかりになります。主な基準を高さ順に並べると次のとおりです。
| 高さの基準 | 求められる主な措置 | 根拠 | 平屋 | 総2階 | 3階建て |
|---|---|---|---|---|---|
| 作業箇所が2m以上 | 足場などで作業床を設ける。作業床は幅40cm以上、手すりなどの墜落防止設備 | 労働安全衛生規則第518条・第563条 | 該当 | 該当 | 該当 |
| 足場の構造が5m以上 | 組立て・解体・変更に作業主任者を選任 | 労働安全衛生法施行令第6条第15号、同規則第565条 | 足場が5m未満なら対象外 | 該当 | 該当 |
| 作業箇所が6.75m超 | 墜落制止用器具はフルハーネス型を使用 | 厚生労働省リーフレット(ガイドライン) | 対象外 | 最上部付近で該当しうる | 該当 |
| 工事部分が地上10m以上で、隣家や通行の場所が近い | 落下物を防ぐ防護棚(朝顔)を1段以上 | 建設工事公衆災害防止対策要綱(建築工事等編)第23 | 対象外 | 対象外 | 屋根の高さや敷地条件で該当しうる |
厚生労働省の資料では、高さ6.75m以下ではフルハーネス型の着用者が地面に到達するおそれがあるため胴ベルト型(一本つり)も使えるとしつつ、一般的な建設作業では5mを超える箇所でフルハーネス型の使用を推奨しています。防護棚は、工事部分から水平距離5m以内やふ角75度を超える範囲に隣家や道路などがある場合の措置です。
足場の点検も強化されています。2023年10月1日からは、足場で作業する日の作業開始前や、強風・大雨などの悪天候や足場の組立て・変更の後の点検で、点検者を指名することが必要になりました(労働安全衛生規則第567条)。組立て後などの点検では、点検結果と点検者の氏名を記録し、工事が終わるまで保存します。3階建ての足場は高さがあり風の影響も受けやすいため、点検記録の有無を施工店に聞いておくと、安全管理の姿勢を比べる材料になります。
道路や隣家に近い3階建てで必要になる対策と手続き
都市部の3階建ては、前面道路や隣家との距離が近いことが少なくありません。高い位置からの落下物や塗料の飛散が周囲へ届く範囲も広がるため、建物の周りの条件が費用と工期に直結します。
国土交通省の建設工事公衆災害防止対策要綱は、施工者に対し、外部足場をメッシュシートなどで覆う防護措置や、資材の上げ下ろしなど落下物の危険がある作業での交通誘導員の配置などを求めています。また、工事の概要と公衆災害防止の取組を、あらかじめ付近の居住者に周知するよう定めています。
足場や資材の一部が道路にかかる場合は、道路交通法第77条にもとづき、管轄の警察署長から道路使用許可を受ける必要があります。通常は施工店が申請しますが、許可の取得にかかる日数や、交通誘導員の配置が見積もりに含まれているかを確認しましょう。駐車スペースが取れず作業車を近くの駐車場に停める場合の費用も、見積書の項目として確かめておくと安心です。
隣家との隙間が狭い面では、通常の足場を組めないことがあります。2024年4月1日からは、幅1m以上の箇所で足場を使う場合は原則として本足場(建地を2列に立てる足場)を使うことになりました。幅1m未満の場合や障害物がある場合の扱いは厚生労働省の資料に示されています。どの面にどの足場を組むかで費用が変わるため、見積書と一緒に足場の配置図を出してもらいましょう。近隣への挨拶の進め方は外壁塗装の近所挨拶で説明しています。
上の階ほど天候と工程の影響を受けやすい
3階建てでは、作業する位置が高くなるほど風の影響を受けやすくなります。労働安全衛生規則第564条は、強風・大雨・大雪などの悪天候で危険が予想されるときは足場の組立て等の作業を中止するよう定めています。また建設工事公衆災害防止対策要綱は、施工計画の段階で強風・豪雨・豪雪時の作業中止の基準と、中止時の仮設物や資材の措置を定めておくよう施工者に求めています。
施主としては、工事の予定表を受け取るときに、雨や風で作業を中止する場合の判断を誰がするのか、予備日を何日見込んでいるのかを確認しておきましょう。台風が近づいたときにメッシュシートをどう扱うかも、高い足場では重要な質問です。工期が延びる要因と工程ごとの日数は外壁塗装の期間で紹介しています。
3階建ては、3階のバルコニーや屋上の防水、高い位置の雨樋や破風の傷みを、地上からは確認しにくい家です。足場が立っている間にしか近くで見られない部分も多いため、塗装と同時に点検してほしい範囲を契約前に伝えておくと、追加工事の判断がしやすくなります。
3階建ての見積書を比べるポイント
3階建ての見積書は、足場と安全対策の項目が多いぶん、施工店によって書き方の差が大きくなります。比べるときは総額より先に、数量と含まれている対策を一行ずつそろえることが大切です。
| 項目 | 3階建てで差が出やすい理由 | 施工店に確認すること |
|---|---|---|
| 外壁の㎡数 | 縦に長く、バルコニー内側やパラペットの扱いが分かれる | 各面の幅と高さ、含めた部分と除いた部分 |
| 足場の㎡数と種類 | 高さがあり、狭い面では組み方が変わる | 足場の配置図、面ごとの足場の種類 |
| メッシュシート・防護棚 | 道路や隣家との距離で必要な対策が変わる | シートの範囲、防護棚の要否と判断理由 |
| 道路使用・交通誘導 | 前面道路に足場や車両がかかる | 許可申請の担当、誘導員の人数と日数 |
| 付帯部・防水 | 高所の雨樋・破風、3階バルコニーの防水 | 塗装と点検の範囲、防水工事の有無 |
総額が安い見積もりでも、防護の範囲や交通誘導の費用が別途扱いになっている場合は、あとから増える可能性があります。足場の単価の比べ方は足場代の見積もり比較、3階バルコニーの防水を同時に行う場合の費用はベランダ防水の費用相場を参照してください。
よくある質問
3階建ての外壁塗装は2階建てよりどれくらい高くなりますか?
金額は外壁材や塗料、敷地条件で変わるため一律には言えません。本文の延床30坪の試算では、3階建ての外壁面積は総2階の約1.25倍、足場は約1.2倍でした。数量に加えて道路使用や防護の対策が加わることもあるため、同じ工事範囲の見積もりで比べてください。
3階建ての外壁面積はどうやって計算しますか?
東西南北の各面の幅と高さを掛け、窓や玄関など塗らない部分の面積を差し引いて合計します。延床面積に係数を掛ける簡易計算は2階建てを前提にしていることが多く、3階建てでは誤差が大きくなります。図面があれば立面図をもとに、なければ現地での実測結果を見積書に書いてもらいましょう。
3階建ての足場では、どのような安全対策が必要ですか?
高さ2m以上の作業では足場の作業床と手すりなどの墜落防止設備が必要で、5m以上の足場の組立てには作業主任者の選任が求められます。厚生労働省の資料では、6.75mを超える箇所ではフルハーネス型の墜落制止用器具を使うことになっています。隣家や道路が近い場合は、メッシュシートや防護棚などの落下物対策も加わります。
前面道路が狭い3階建てでも外壁塗装はできますか?
道路が狭くても施工できることは多いですが、足場や作業車が道路にかかる場合は警察署長の道路使用許可が必要です。許可の取得や交通誘導員の配置には日数と費用がかかります。現地調査の段階で、道路側の足場の組み方と、資材や車両をどこに置くかを確認してください。
3階建ての外壁塗装で施主が確認しておくべき安全面のことは何ですか?
足場の配置図、メッシュシートや防護棚の範囲、悪天候で作業を中止する基準を確認しましょう。2023年10月からは足場の点検者の指名と、組立て後などの点検者氏名の記録が義務になっています。点検記録の扱いや近隣への周知の方法を説明できるかどうかも、施工店を比べる材料になります。
まとめ
3階建ての外壁塗装は、1フロアが小さく縦に長いため、同じ延床面積の2階建てより外壁と足場の数量が多くなります。延床30坪の試算では、外壁は約1.25倍、足場は約1.2倍でした。外壁面積は延床からの概算ではなく、立面ごとの幅と高さから求めた数字で比べましょう。
高さが増えると、作業主任者、フルハーネス型の墜落制止用器具、防護棚など、法令やガイドラインで求められる安全措置も増えます。道路使用許可や交通誘導が必要な敷地もあるため、見積書では足場の配置図と安全対策の範囲までそろえて比べることが大切です。
3階建ての足場と安全対策をそろえて見積もりを比べる
外壁塗装見積ナビで見積もりを依頼する際は、各社に外壁と足場の㎡数、足場の配置図、メッシュシートや交通誘導の範囲を示してもらい、同じ条件で比べましょう。