外壁塗装で太陽光パネルはどうする?脱着・屋根塗装・保証
屋根に太陽光パネルを載せている家で外壁塗装や屋根塗装を考えると、「パネルは外す必要があるのか」「パネルの下の屋根は塗れるのか」「外したらメーカー保証はどうなるのか」といった疑問が出てきます。外壁だけを塗るのか、屋根も塗るのかで、太陽光設備への影響は大きく変わります。
この記事では、太陽光発電協会(JPEA)の施工・点検に関する資料、日本電機工業会の資料、消費者安全調査委員会の調査報告に関する業界団体の説明をもとに、脱着の要否の判断、パネル下の屋根と架台の確認、配線と電気工事の担当、保証と点検の扱いを整理します。脱着の費用は設備の構成や枚数で大きく変わり、公的な目安が示されていないため、金額は見積もりで個別に確認してください。
太陽光設備の扱いまで含めて見積もりを比べる
外壁塗装見積ナビで見積もりを依頼する際は、太陽光パネルの有無、メーカー名、設置した年、購入した販売店を伝えましょう。脱着の要否や電気工事の担当を、施工店ごとに比べやすくなります。
外壁だけを塗る場合に太陽光設備で確認すること
外壁だけの塗装なら、屋根の上のパネルに直接触れずに工事を進められることが多いでしょう。ただし、太陽光発電の設備は屋根の上だけにあるわけではありません。外壁には、パネルから室内へ引き込むケーブルとその保護管や配管カバー、パワーコンディショナ(発電した直流の電気を家庭で使える交流に変える機器)、接続箱などが取り付けられていることがあります。
これらの機器の周りを塗るときは、機器を外すのか、養生して周りだけ塗るのかを施工店に確認しましょう。電気の配線につながる機器を、塗装の職人が判断で取り外すことは避けるべきです。パワーコンディショナの通気口を養生でふさいだままにしないこと、ケーブルの保護管を固定し直すときに傷めないことも、工程の打ち合わせで伝えておきたい点です。配管カバーの塗装と脱着の考え方は外壁塗装で配管カバーは塗るかで説明しています。
足場との関係にも注意が必要です。外壁塗装の足場は軒先の高さまで組むことが多く、足場に張る飛散防止のメッシュシートがパネルにかかる面があると、日射がさえぎられて工事期間中の発電量が下がることがあります。JPEAの資料も、発電量は日射の強さや設置条件で変わるとしています。高圧洗浄の水や塗料の飛散がパネル表面に付かないよう、パネル側の養生の方法も確認しておきましょう。
屋根塗装で太陽光パネルの脱着は必要ですか
屋根も塗る場合は、パネルの扱いが最大の判断点になります。パネルが載っている部分の屋根は、パネルを外さない限り塗れません。主な選択肢は次の4つです。
| 選択肢 | 内容 | 向いている状況 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| パネルを外して屋根全体を塗る | パネルと架台を一時的に外し、塗装後に再設置する | パネル下の屋根材や金具まわりの傷みが疑われる | 脱着の費用と工期がかかる。再設置時の雨仕舞いと電気工事が品質を左右する |
| パネルを外さず周囲だけ塗る | パネルの載っていない部分だけを塗装する | パネル下の傷みが軽く、パネルの撤去予定が近い | パネル下は手当てできない。仕上がりの色に差が出る |
| 塗装をせず屋根工事の時期を待つ | 屋根のカバー工法や葺き替えの時期にパネルを脱着する | 屋根材自体の傷みが進み、塗装では対応しにくい | 屋根工事の計画とパネルの寿命を合わせて考える |
| 屋根と一体の設置形態 | パネルが屋根材の役割を兼ねている | パネル部分は塗装の対象外 | パネルの周りの屋根材と取り合い部分の手入れを確認する |
判断の材料は、パネル下の屋根の状態、パネルを設置してからの年数、今後どのくらい発電を続ける予定か、の3つです。パネルを外さずに周囲だけ塗る方法は費用を抑えられますが、パネル下の屋根材や防水シートの傷みは確認できません。屋根塗装が意味を持つ状態かどうかは屋根塗装とカバー工法はどっちかで、屋根塗装の費用の内訳は屋根塗装の費用相場で詳しく説明しています。
脱着を選ぶ場合、取り外したパネルと架台を戻す作業が新たな雨漏りの原因にならないかが重要です。JPEAの「住宅用太陽光発電の設計と施工」(2023年)は、事故事例として、取付けビスの打ち間違いによる穴からの漏水や、施工時の瓦の破損箇所からの漏水を挙げています。脱着の見積もりでは、再設置で金具を固定する方法と防水の処理を説明してもらいましょう。
パネル下の屋根と架台・金具の状態をどう確かめますか
パネルの下は地上や足場から見えにくく、塗装の見積もりでも状態が分からないまま話が進みがちです。JPEAの資料によると、屋根に取り付ける金具は瓦用、スレート用、金属屋根用などで種類が異なり、パネルを載せる架台は鋼材に亜鉛系めっきをしたものやアルミ合金製が多いとされています。金具の多くは屋根材や下地に固定されているため、その周りは雨水の浸入に注意が必要な部分です。
自宅の設備がどの設置形態かも確認しておきましょう。JPEAと日本電機工業会は、消費者安全調査委員会の調査報告(2019年)に関する説明で、住宅用太陽光発電の設置形態を次の4つに分けています。
| 設置形態 | JPEAなどの説明(要旨) | 塗装での扱い |
|---|---|---|
| 屋根置き型 | 屋根材の上に架台を取り付け、パネルを設置する | パネル下の屋根材は、脱着しなければ塗れない |
| 鋼板等敷設型 | 屋根材にパネルが組み込まれているものや、屋根全面にパネルを設置したもので、パネル直下の防水シート表面に鋼板等を敷くタイプ | パネル部分は塗装の対象外。周辺の屋根材や板金を確認する |
| 鋼板等付帯型 | 裏面に鋼板等の不燃材料を付けたパネルを防水シートの上に直接設置する | パネル部分は塗装の対象外。周辺の取り合いを確認する |
| 鋼板等なし型 | 裏面に鋼板がないパネルを防水シートの上に直接設置する | 塗装の前に販売店や製造業者へ相談する |
業界団体の説明では、調査報告書が再発防止策を求めたのは「鋼板等なし型」で、住宅用全体の約4.5%(約107,000棟)とされています。該当するかどうか分からない場合は、購入した販売業者、設置業者または製造業者に問い合わせるよう案内しています。屋根塗装を依頼する前に設置形態を確かめておくと、施工店との話が早く進みます。
JPEAの資料は、太陽光発電のシステム重量を1㎡あたり10~15kg程度としています。古い屋根で脱着をするときは、屋根の下地が傷んでいないかも併せて確認してもらいましょう。屋根の雨漏りが疑われる場合の原因調査は屋根の雨漏りは塗装で直るかで扱っています。
配線・パワーコンディショナと電気工事は誰が担当しますか
太陽光パネルは、光が当たっていれば発電しています。JPEAの資料も、光が当たっているパネルは1枚でも発電しているため、配線の接続部の取り扱いには十分な注意が必要だとしています。曇りの日でも発電は止まらないため、パネルの配線には塗装の職人が触れないことを前提に工程を組みましょう。
電気工事士法3条は、一般用電気工作物等の電気工事の作業に、第一種または第二種電気工事士でない者が従事することを禁じています。パネルの脱着では配線の切り離しと再接続が伴うため、その作業を誰が行い、資格を持っているかを見積もりの段階で確認してください。JPEAの点検に関する資料も、異常があった場合の相談先として製造業者などの専門の技術者を挙げ、配線関係は電気工事業者としています。
実際の工事では、塗装店が太陽光の脱着まで自社で請け負う場合と、太陽光の販売・施工店や電気工事業者に脱着を依頼する場合があります。どちらでも、運転の停止と再開の手順、再設置後に発電を確認する方法、確認の結果を記録で受け取れるかを事前に決めておきましょう。発電モニターの数値を工事前後で記録しておくと、再設置後の不具合に気づきやすくなります。
太陽光パネルのメーカー保証と点検はどうなりますか
太陽光発電の保証には、パネルの出力や周辺機器の故障を対象とするメーカー保証と、設置工事を対象とする販売・施工店の保証があります。脱着や再設置がそれぞれの保証にどう影響するかは、保証書の条件で決まります。
例として、三菱電機は住宅用太陽光発電の保証について、引き渡し後の据付場所の移動による故障・損傷や、他の製品や据付工事の不良に起因する故障・損傷を保証の対象外とし、据付工事は保証の対象外で、工事の保証は販売店に確認するよう案内しています(同ページの内容は販売当時の2020年3月時点のもので、住宅用の保証申請の受付は終了しています)。このように、メーカー保証は製品を対象とし、工事による不具合は工事をした会社の責任として扱われることがあります。脱着を依頼する前に、メーカーまたは販売店に「誰が脱着した場合に保証が続くか」を書面で確認し、脱着を行う会社の工事保証の範囲も確かめておきましょう。
点検の時期との組み合わせも検討する価値があります。JPEAの資料が引用する「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」は、専門技術者による点検を設置1年目、5年目、9年目以降は4年ごとを目安とし、所有者の日常点検を月1回程度と台風や地震などの後に行うよう示しています。屋根の足場がある期間に専門の点検を合わせれば、高所の作業をまとめられます。
一方で、太陽光発電の点検をめぐる勧誘には注意が必要です。国民生活センターは2025年6月に、「点検が義務化された」などと言われて高額な契約を勧められる相談が急増しているとして、安易に契約せず点検の要否を確認するよう呼びかけています。日本電機工業会の資料も、購入した販売店・施工店や機器メーカーに、設備が定期点検の義務の対象かを確認するよう勧めています。訪問での勧誘への対処は外壁塗装の悪質業者の手口と見分け方も参考にしてください。
太陽光パネルがある家の見積もりで確認すること
太陽光設備がある家では、塗装店によって脱着への対応力に差が出ます。同じ「屋根塗装」の見積もりでも、脱着を含むかどうかで総額が大きく変わるため、次の項目を各社にそろえて確認しましょう。
| 確認する項目 | 施工店に示してもらう内容 |
|---|---|
| 脱着の有無と範囲 | パネルを外すか、外さず周囲だけ塗るか。その判断の理由 |
| 脱着を行う会社 | 自社か、太陽光の販売・施工店や電気工事業者か。会社名 |
| 電気工事の資格 | 配線の切り離しと再接続を行う人の電気工事士の資格 |
| 再設置の方法 | 金具の固定方法、既存のビス穴の処理、防水の処理 |
| パネルの保管 | 取り外したパネルの置き場所と、破損した場合の補償 |
| 動作確認 | 再設置後の発電の確認方法と、その記録の受け渡し |
| 保証の扱い | メーカー保証・販売店の工事保証への影響の確認結果と、屋根の雨漏りに対する工事保証の範囲 |
| 足場 | 屋根の作業とパネルの脱着に必要な足場の範囲と費用 |
脱着の費用が見積書で「一式」になっている場合は、パネルの枚数、作業人数、電気工事の費用などに分けてもらうと、他社と比べやすくなります。足場の費用の見方は屋根塗装の足場代で詳しく説明しています。
よくある質問
外壁塗装だけなら太陽光パネルを外す必要はありますか?
外壁だけの塗装なら、パネルを外さずに工事できることが多いでしょう。ただし、外壁に取り付けられたパワーコンディショナや接続箱、ケーブルの保護管の周りをどう塗るか、足場のシートでパネルが日陰になるかは確認が必要です。機器の取り外しが必要な場合は、電気工事の資格を持つ人が担当するかを確かめてください。
太陽光パネルの下の屋根も塗装できますか?
屋根の上に架台で載せる屋根置き型なら、パネルを一時的に外せば下の屋根も塗れます。外さない場合、パネルの下は塗装も点検もできません。パネルが屋根材の役割を兼ねる設置形態では、パネル部分は塗装の対象外になるため、周りの屋根材や取り合いの手入れを確認しましょう。
太陽光パネルを脱着するとメーカー保証はなくなりますか?
保証書の条件によって変わります。三菱電機の住宅用の保証のように、引き渡し後の据付場所の移動による故障や、据付工事の不良による故障を対象外としている例があります。脱着の前にメーカーまたは販売店へ、誰が脱着すれば保証が続くかを書面で確認しましょう。
太陽光パネルの脱着は塗装店に頼めますか?
塗装店が脱着まで請け負う場合も、太陽光の販売・施工店や電気工事業者に依頼する場合もあります。脱着には配線の切り離しと再接続が伴うため、作業する人の電気工事士の資格と、再設置後の動作確認の方法を見積もりの段階で確認してください。購入した販売店に脱着を頼めるかも、先に問い合わせておくと選択肢が広がります。
屋根塗装のときに太陽光発電の点検もしたほうがよいですか?
足場がある期間に合わせると、高所の作業をまとめられます。JPEAの資料が引用する保守点検ガイドラインは、設置1年目、5年目、9年目以降は4年ごとを専門技術者による点検の目安としています。点検は購入した販売店やメーカーに相談し、「点検が義務化された」といった突然の勧誘で契約しないようにしましょう。
まとめ
太陽光パネルがある家の外壁塗装では、パネルに直接触れなくても、外壁のパワーコンディショナや配線、足場のシートによる日陰に注意が必要です。屋根も塗る場合は、パネルを外して全体を塗るか、周りだけ塗るか、屋根工事の時期を待つかを、パネル下の状態と発電を続ける予定から決めましょう。設置形態によっては、パネル部分が塗装の対象外になります。
脱着をする場合は、配線を扱う人の電気工事士の資格、再設置時の防水処理、メーカー保証と工事保証の扱いを事前に書面で確認することが大切です。見積もりでは、脱着の担当会社と費用の内訳、動作確認の方法まで各社にそろえて示してもらいましょう。
脱着と保証の扱いをそろえて見積もりを比べる
外壁塗装見積ナビで見積もりを依頼する際は、太陽光パネルのメーカー・設置年・設置形態を伝え、脱着の要否、担当する会社、再設置の方法と保証の扱いを各社に示してもらいましょう。