アレスホルダーHGとは|クラックホルダー・カチオンWフィラーとの使い分け
外壁塗装の見積書に「アレスホルダーHG」「アレスクラックホルダー」「アレスカチオンWフィラー」が並ぶと、どれも下地を整える材料に見えます。しかし関西ペイントの仕様では、HGは改修塗装の面を整える主材、クラックホルダーは条件付きのひび補修材、カチオンWはセメント系の下地調整材です。塗る場所、厚さ、下塗り、次の工程が違います。
この記事は関西ペイントの3製品に限定し、業者ごとの下地処理の差を見積書で確認する方法を説明します。シーラー・プライマー・フィラーの基本と、外壁のひび割れの点検は関連記事です。アレスダイナミック系の下塗りは別記事で扱います。
下地の状態と材料の役割を揃えて見積もる
外壁塗装見積ナビで見積もりを依頼するときは、古い塗膜の浮き、ひび幅、段差と漏水の有無を各社に記録してもらいましょう。「フィラー一式」で済ませず、補修する場所、製品名、下塗りの有無、仕上げ模様と上塗りを分けて比べられます。
3製品は同じ「フィラー」ではない
関西ペイントの建築用塗料製品検索では、アレスホルダーHGを水性の下地調整材、アレスクラックホルダーを防水形クラック補修材、アレスカチオンWフィラーをセメント系下地調整塗材として掲載しています。同じ外壁の工事に組み込まれることはあっても、材料を1対1で置き換える関係ではありません。
| 製品 | メーカーの分類 | 主に担当する工程 | 見積書で区別する点 |
|---|---|---|---|
| アレスホルダーHG | 水性微弾性下地調整材。JIS A 6909の可とう形改修塗材Eの主材 | 健全な旧塗膜を含む外壁面の下地調整・模様づくり | 平滑・さざ波・ゆず肌の別、面積と所要量 |
| アレスクラックホルダー | アクリルゴム系の防水形クラック補修材 | 適用幅内のひび割れを局所補修 | ひび幅・長さ、メッシュ補強の要否 |
| アレスカチオンWフィラー | 一材型ポリマーセメント系。JIS A 6916のC-1・C-2 | コンクリート等の不陸を平滑にする下地調整 | C-1かC-2か、塗る厚さ・水量・乾燥 |
この表の「防水形」はクラックホルダーの製品分類です。雨漏りの原因が躯体内部や開口部にある場合まで、表面の補修材だけで解消できるわけではありません。先に漏水と下地の状態を調べ、必要な補修を決めてから面全体の下地調整材を選びます。アレスホルダーHGを採用する見積もりに、局所のひび補修が含まれているかも別に確認してください。
アレスホルダーHGは模様と所要量で仕様が変わる
アレスホルダーHGの製品説明書は、これを水性微弾性下地調整材とし、コンクリート、モルタル、ALC板を主な適用素材に挙げています。白い16kg缶の材料で、上から各種外装用の塗料を塗るための主材です。仕上げは平滑、さざ波、ゆず肌があり、塗装方法と使用量が変わります。
| 模様・施工方法の例 | メーカーの標準所要量(1回当たり) | 見積書での確認 |
|---|---|---|
| 平滑・中毛ローラー | 0.3~0.5kg/㎡ | 凹凸をどこまで残すか、塗る面積 |
| さざ波・多孔質ローラー | 0.8~1.5kg/㎡ | 模様の見本、材料数量 |
| ゆず肌・リシンガン | 0.7~1.0kg/㎡ | 吹付けの養生範囲と周辺への飛散対策 |
「HGを1回塗る」という点が同じでも、平滑とさざ波では必要量の目安が大きく違います。材料代だけでなく模様の施工方法も変わるため、単価を比較する前に同じ仕上がり見本と対象面積を揃えてください。標準所要量は下地の形状と施工条件で増減し、見積書の予定缶数は現場に合わせて決めます。塗布量の確認方法も参考になります。
メーカーのHGカタログは、素地調整の時点で、ひび、鉄筋露出、漏水への処置と、劣化塗膜の除去・洗浄・乾燥を求めています。その後、アレスホルダーHGを下地調整・主材として使い、選んだ上塗り材の仕様に従って仕上げます。「下塗り兼用」と説明された場合でも、補修や上塗りの工程が消えるわけではありません。
シーラーレスは下地が健全な場合に限る
HGの製品説明書には「シーラーレス塗装が可能」とあります。ただし同じ資料は、新設のモルタル・コンクリート、吸い込みが著しい旧塗膜、補修後の素地にはシーラーを使うよう指示しています。メーカーのカタログも、素材が露出した部分やセメント系補修材を施した部分、新設コンクリートには適切なシーラーを指定しています。
したがって、見積書の「シーラーなし」は自動的な手抜きでも、どんな下地でも適用できる省工程でもありません。旧塗膜が密着していて吸い込みが少ないか、浮きや剥がれのある部分をどこまで除去するかを施工店に示してもらいます。補修箇所だけにシーラーを入れる場合は、その場所と数量を記載します。新設面や下地が脆弱な面を同じ一律仕様にしないことが重要です。
メーカーは弾性スタッコ面にはHGを塗らないよう注意し、新設ALCにも適用できないとしています。高断熱型の外壁や一部の弾性系旧塗膜にも適用できない場合があります。見積もり段階で、外壁材の種類と既存の仕上げを確認し、塗装仕様が合うかメーカー資料と照合しましょう。壁の一部だけ別素材なら、その面は別の仕様が必要か確認します。
クラックホルダーは幅と補強方法を確認する
アレスクラックホルダーの製品説明書は、コンクリート、モルタル、ALCの塗装仕上げ面に使うアクリルゴム系のクラック補修材と説明しています。ローラーや刷毛で施工する高弾性の材料ですが、どんな幅のひびにも使えるわけではありません。
メーカーは、幅0.5mm以上~1mm以下のひびにはポリエステルメッシュで補強する工程を指定し、1mm以上のひびには本品を適用できないと記載しています。境界の1mmは両方の文言に出るため、1mmに近い割れを含め現場で幅を測り、適用可否と補修方法を施工店からメーカーに確認してもらいましょう。0.5mm未満でも、深さ、動き、水の侵入によって適切な処置は変わります。幅だけで補修を決めないことが大切です。
躯体や構造からの漏水がある場合、同社は先に止水処理を行うよう求めています。また、露出した素材や吸い込みの強い旧塗膜にはシーラーが必要です。クラックホルダーの上に重ねる下地調整材は、微弾性以上の弾性を持つものが指定され、硬質タイプの主材は適用外です。HGと一緒に見積もられていても、材料の順番と上塗りとの適合を確認してください。
ひびの見積もりは「一式」より、対象箇所の写真、幅・長さ、メッシュの有無、材料名、補修後の模様復元を記載してもらうと比べやすくなります。メーカーは、平滑に仕上げても補修部分に凸の跡が出ることがあると注意しています。完成後の見え方も事前に確認しましょう。
カチオンWフィラーはC-1・C-2と厚さで選ぶ
アレスカチオンWフィラーの製品説明書は、この材料を再乳化形セメント系の一材型ポリマーセメント下地調整材とし、JIS A 6916のC-1とC-2に対応すると記載しています。20kgの粉体に水を加え、コンクリートやモルタルなどの面を整える材料です。HGのような樹脂系の模様材や、ひびへの局所補修材とは目的が違います。
メーカーの表では、C-1はローラー・刷毛や吹付けによる薄い面調整、C-2はこて・へらで1mm厚を目安とする不陸調整です。標準所要量は、C-1のローラー・刷毛で粉体0.50~0.60kg/㎡、C-2のこて・へらで1mm厚当たり粉体1.10kg/㎡と異なります。これらは加える水の量を含まない粉体の数値です。厚さと施工面積が異なる見積もりを、kg/㎡だけで比較できません。
練り混ぜた材料はメーカー説明書上、1時間以内に使い切る量とし、23℃で次の塗装まで24時間以上の養生が必要です。セメント質のため白華が起こる可能性があり、特に冬の雨のあとに注意するよう示されています。施工後の雨水養生や次の下塗りとの組み合わせまで聞いてください。C-1を塗ったらすぐHGや仕上げ材を重ねられるわけではありません。
例えば外壁面の浮き塗膜を除去して段差ができたなら、局所にセメント系補修材や樹脂モルタルで段差を整え、必要なシーラーを入れ、HGで面の模様を揃える案が考えられます。ただし採用する材料の組み合わせは、下地の吸い込み、アルカリ・水分、旧塗膜、次の上塗り材によって決まります。3製品を必ず全部使うという意味ではありません。
見積書は下地診断から仕上げまで同じ条件で比べる
下地調整材は、製品名だけを比較しても工事内容が分かりません。HGは模様で所要量が変わり、クラックホルダーはひび幅とメッシュ補強で工程が変わり、カチオンWはC-1かC-2かと厚さで数量が変わります。各社に同じ現況写真と仕上がりの希望を渡し、次の項目を分けて説明してもらいましょう。
| 見積書の欄 | 具体的に確認すること |
|---|---|
| 下地診断 | 外壁材、旧塗膜の種類・付着、露出面、ひび幅・長さ、浮き・漏水 |
| 事前処置 | 洗浄・乾燥、劣化塗膜の除去、止水、ひびと段差の補修数量 |
| 局所補修 | クラックホルダーの対象、メッシュ補強、補修跡の仕上げ |
| 面調整 | カチオンWのC-1/C-2、面積と厚さ、必要なら下塗りと養生 |
| 模様・主材 | HGの平滑・さざ波・ゆず肌、施工方法、面積、所要量 |
| 仕上げ | シーラーの有無と理由、上塗りの正式名・回数、足場と養生を含む税込総額 |
比較の例として、同じ100㎡の旧モルタル壁でも、HGの平滑なら標準所要量は30~50kg、さざ波なら80~150kgが目安です。これはメーカーのkg/㎡を単純に掛けた主材だけの計算値で、下地の吸い込み、施工ロス、上塗り、補修材料を含みません。面積と模様を固定せずに「材料単価が高い・安い」と判断できないことを示すための例です。
メーカーの資料には、HGをJIS A 6909の可とう形改修塗材Eの主材として使う際の上塗りの組み合わせが示されています。見積書でJIS適合を根拠にするなら、実際に採用する下塗り・主材・上塗りの組み合わせを示してもらいます。単独のHGの規格表示を、どの上塗りとの組み合わせでも同じ認証がある意味に広げないでください。
よくある質問
アレスホルダーHGならシーラーを省けますか?
健全な旧塗膜などの条件でシーラーレス塗装が可能です。ただし、メーカーは新設面、素地が露出した部分、吸い込みの強い旧塗膜、補修した部分にはシーラーを指定しています。見積書にシーラーがなければ、現況のどの面に省略が適用できるのか、写真と仕様で確認してください。
アレスホルダーHGだけでひび割れを直せますか?
HGはクラック充填性を備えますが、メーカーの標準仕様は塗る前にクラックや漏水への適切な処置を求めています。ひびの幅と深さ、動き、水の侵入を調べ、局所補修材の要否を決めてください。HGの面塗りに補修費が含まれるとは限らないため、見積書の欄を分けます。
クラックホルダーは1mmのひびに使えますか?
説明書には0.5mm以上~1mm以下はメッシュ補強、1mm以上は適用できないという両方の記述があります。境界に当たるひびは幅の測定方法と適用可否をメーカー・施工店に確認しましょう。幅が大きい、段差がある、漏水している場合は別の補修方法を検討します。
カチオンWフィラーのC-1とC-2は何が違いますか?
C-1はローラーや刷毛などによる薄い面調整、C-2はこて・へらで厚さをつける不陸調整に使います。同じ粉体でも加える水の量、標準所要量、施工方法が違います。見積書にはC-1かC-2かに加え、対象面積と予定厚さ、乾燥養生を記載してもらいましょう。
アレスカチオンWフィラーの上にすぐ仕上げ材を塗れますか?
関西ペイントは、23℃で24時間以上あけてから次の工程に進むよう示しています。白華を抑えるため、施工後の雨養生と、下塗りにスーパーザウルス2かマルチタイルコンクリートプライマーEPOを使う仕様も案内しています。工程表で乾燥期間が確保されているかを確認しましょう。
まとめ
アレスホルダーHGは改修塗装で面の模様を整える水性微弾性の主材、アレスクラックホルダーは適用幅のある局所ひび補修材、アレスカチオンWフィラーはC-1・C-2を選んで使うセメント系の下地調整材です。同じ外壁に使う場合も、役割と順番は異なります。
見積書では、旧塗膜とひびの診断、漏水・浮きの処置、シーラーの要否、模様・厚さ・使用量、上塗りとの組み合わせを確認してください。特にHGのシーラーレスは下地の条件付きで、クラックホルダーには幅の制限があります。
補修箇所・主材の模様・仕上げを揃える
外壁塗装見積ナビで見積もりを比較するときは、ひびと段差の場所、各製品の正式名と数量、HGの仕上げ模様、下塗り・上塗りの仕様、足場や補修を含む税込総額を各社に示してもらいましょう。