マスチック塗材とは|エスケーマスチックAの模様と下地調整
「マスチック塗材」は、多孔質のローラーで厚く塗り、外壁に凹凸模様をつくる仕上げ材です。エスケー化研のエスケーマスチックAには、塗材の模様をそのまま見せるMR-Aと、別の上塗材を重ねるMR-AEがあります。見積書に「マスチック塗装一式」とだけ書かれていると、どちらの仕上げか、下地の補修やシーラーを含むかが分かりません。
この記事はエスケーマスチックAの製品仕様と模様、見積書で確認する工程に絞ります。ローラーと吹き付け工法の一般的な比較は施工方法の記事を、シーラーやフィラーなどの役割は下地調整材の記事を参照してください。
模様見本と下地処理の範囲を揃えて見積もる
外壁塗装見積ナビで見積もりを取る際は、外壁の現況写真と希望する凹凸の見本を各社に示しましょう。MR-AかMR-AEか、シーラー、主材、上塗り、補修箇所、面積と税込総額を分けて記載してもらうと比較できます。
マスチック塗材Aはローラーで厚い模様をつくる
全国マスチック事業協同組合連合会の説明によると、マスチック塗材A・Cのローラー工法は、多孔質ハンドローラーを使って一段で厚い塗材層をつくる仕上げ方法です。表面は凹凸状になります。「マスチック」はローラーの種類を指す場面もありますが、材料名、施工方法、模様名を同じ意味で使わないことが大切です。見積書の「マスチックローラー」だけでは、どの塗材を使うか決まりません。
エスケー化研のエスケーマスチックA製品ページは、同品を水性・アクリル樹脂系の「マスチック塗材A」とし、コンクリート、セメントモルタル、スレート板を適用下地に挙げています。主に外壁などの面に凹凸模様をつくる厚付仕上塗材です。セメント系の不陸をこてで埋める材料や、仕上げ前に薄く塗るフィラーと役割が異なります。
メーカーのカタログは、仕上がりを、骨材が表面に出る粗いさざ波状の模様と説明しています。ローラーを転がすだけで自動的に均一な模様になるわけではありません。同社は、塗材を配り、ならし、ローラーで転圧して一段塗りを仕上げる手順と、継ぎ目が目立たない塗り幅を示しています。補修面と既存面で模様の高さや色が違うことがあるため、施工前に小面積の見本で確認しましょう。
MR-AとMR-AEは上塗りの有無が違う
エスケーマスチックAのカタログでは、MR-Aは主材を塗って仕上げる艶消しの仕様、MR-AEは主材の上にエスケーGPペイントを塗る艶有りの仕様として載っています。どちらも主材に同じエスケーマスチックAを使いますが、上塗りの有無で工程と完成後の見え方が変わります。
| 仕様 | メーカーの新築標準仕様にある工程 | 仕上がり | 見積書で確認すること |
|---|---|---|---|
| MR-A | シーラー→マスチックAの主材1回 | 艶消しの粗いさざ波状 | 主材の色、模様見本、シーラーと主材の数量 |
| MR-AE | シーラー→マスチックAの主材1回→GPペイント2回 | 上塗りをした艶有り | 上塗りの製品名・色・回数、主材との適合 |
この表はメーカーの新築向け標準仕様に基づきます。同カタログは、都市再生機構の保全工事など改修では仕様が異なると明記しています。既存外壁の塗り替えに新築の工程表をそのまま当てはめず、旧塗膜の種類、付着、ひび、吸い込み、下地の含水状態を調べて、採用する改修仕様を施工店に示してもらってください。
製品ページにはMR-Aの期待耐用年数4~7年、MR-AEは5~7年とあります。これはメーカーが「次の塗り替え時期の目安」と説明する参考値で、地域、立地、方角などで変わります。施工店の保証期間や、ひび・雨漏りが発生しない期間を示すものではありません。MR-AEの数字だけを見て、すべての現場でMR-Aより必ず長持ちすると約束することもできません。
下地調整とシーラーを主材塗りから分ける
厚く塗る材料でも、浮いた旧塗膜や進行したひび割れを隠して塗れば補修になるわけではありません。まず外壁の材質と既存の塗膜を特定し、浮き・剥がれ、ひび、水の侵入、段差を点検します。ひびから雨水が入っていれば、原因調査と必要な補修を済ませたうえで、仕上げの仕様を選びます。傷んだ面を塗材で覆っただけでは、その下の弱い層ごと剥がれるおそれがあります。
メーカーの新築標準仕様では、主材の前にエスケーマスチックシーラーを使います。製品ページもこのシーラーを適用下塗材に挙げつつ、下地によって仕様が変わると注記しています。MR-AEでは特記仕様としてエスケーマスチックカラーシーラーを使う場合もあります。見積書の「シーラー一式」は、採用する製品名、施工面積、下地によって回数を変えるかまで確認してください。
下塗材の名称が似ていても役割は同じとは限りません。シーラー・プライマー・フィラーの違いも照らし合わせ、見積書に書かれた製品の役割を確認しましょう。
カタログには、押出成形セメント板、GRC板、PC部材への施工は別途相談が必要、軽量PC部材は避けるという注意があります。製品ページの適用下地にない材質や、既存の弾性塗膜などがある場合は、施工店にメーカーの適用仕様を確認してもらいましょう。「外壁なら何でもマスチックA」とは判断できません。
模様合わせも見積項目です。カタログは、既存塗膜が剥がれた箇所を補修する際には既存パターンに合わせるよう指示しています。広い面を全面改修するのか、局所の補修跡を目立ちにくくするのかで作業量が違います。塗る前の写真、試し塗りの場所、完成時に確認する模様見本を共有すると、仕上がりの認識を揃えやすくなります。
使用量と設計価格は工程込みの条件を確認する
エスケーマスチックAの20kg缶は、メーカー製品ページで標準塗坪14~16㎡/缶とされています。カタログの新築標準仕様では、主材1回の所要量1.2~1.4kg/㎡、シーラー1回の所要量0.12~0.15kg/㎡を示します。MR-AEでは、さらにGPペイントを2回塗る工程があります。同じ「100㎡」でも、主材だけの量と全工程の材料量は違います。
仮に主材を100㎡へ新築標準仕様の量で使えば、単純計算で120~140kgです。20kg缶なら6~7缶に相当しますが、缶数は端数の手配や凹凸・吸い込み、施工ロスで変わります。メーカーは「標準塗付け量」を壁面に付着させる量、「所要量」をロスを含む使用量として区別し、数量の算定には所要量を使うよう指示しています。見積書のkg/㎡がどちらの数字か確認してください。
同社の製品ページに掲載された設計価格は、MR-Aが2,520円/㎡、MR-AEが4,260円/㎡で、どちらも下塗材込みです。ただし、これは施工面積300㎡以上を基準とした材工共の価格で、下地調整費を含みません。戸建て住宅の壁面積に掛けて足場や補修込みの総額にする数字ではありません。MR-AEは上塗りがある仕様なので、単価差も塗材単体の材料価格差とは読めません。
防火認定と施工条件は仕様単位で確かめる
エスケー化研の製品ページには不燃・準不燃・難燃の防火認定番号が載ります。ただし認定条件として「外部用艶消し」と明記されています。MR-AEの艶有りの仕上げや、別の上塗材を重ねる仕様まで同じ認定で扱えるとは限りません。建物に防火性能の指定がある場合は、施工店に採用する材料の組み合わせ、塗付量、下地と認定資料を確認してもらってください。
カタログの新築標準仕様では、シーラー後の放置時間は23℃で3時間以上、マスチックAを塗った後は16時間以上です。MR-AEなら、その後にGPペイント1回目・2回目の工程が続きます。気温や湿度、下地の水分で乾燥は変わり、メーカーは気温5℃以下や湿度85%以上、乾燥不足の下地などで施工を避けるよう注意しています。工程表の日数だけで判断せず、各工程の乾燥確認を聞いてください。
ローラー施工は吹き付けより飛散を抑えやすいというメーカーの説明があります。それでも窓、給湯器、植栽、床の養生が不要になるわけではありません。凹凸模様をつくるための厚い塗材を扱う工事なので、周囲をどこまで保護し、施工後に汚れをどう確認するかも見積もりに含めます。
見積書は模様・工程・補修を同じ条件で比べる
例えば旧モルタル壁に凹凸模様を新しくつくる場合、業者AがMR-A、業者BがMR-AEを提案していれば、上塗りの有無が違います。㎡単価だけを比べず、希望する艶、模様の高さ、既存面の補修範囲を揃えて再提案してもらいましょう。部分補修なら、既存の模様をどこまで再現するかも決めます。
| 見積書の欄 | 確認すること |
|---|---|
| 現況と下地処理 | 外壁材、旧塗膜の付着、ひび・浮き・漏水、洗浄と補修の範囲 |
| シーラー | 製品の正式名、施工する面積と回数、下地による使い分け |
| 主材 | エスケーマスチックAの正式名、MR-A/MR-AE、模様見本、所要量と面積 |
| 上塗り | MR-AEならGPペイントなどの正式名、色・艶、回数と使用量 |
| 現場管理 | 乾燥時間、養生の範囲、既存模様と補修箇所の仕上がり確認 |
| 費用と保証 | 足場・下地補修・養生を含む税込総額、保証の対象と期間 |
メーカーが示すMR-A・MR-AEは具体的な工程を持つ仕様です。上塗りを別製品に変える提案や改修工事では、その組み合わせの適用と期待耐用年数、防火認定の範囲を提案された仕様ごとに確認します。「マスチックAを塗る」という材料名だけで、完成後の艶や性能を決めないようにしましょう。
よくある質問
マスチック塗材とフィラーは同じですか?
同じではありません。エスケーマスチックAはローラーで凹凸の仕上げ模様をつくる厚付仕上塗材です。フィラーは主に仕上げ前の下地調整に使う材料です。工程が一部重なることはあっても、製品と用途が違います。見積書では下地補修、シーラー、マスチックAの主材、必要なら上塗りを別々に確認してください。
マスチックローラーを使えばエスケーマスチックAの仕上げですか?
ローラーの名称だけでは塗材を特定できません。多孔質のマスチックローラーは別の塗材にも使われます。エスケーマスチックAの見積もりなら、缶の正式名、MR-AかMR-AEか、仕上がり見本を揃えてください。同じ道具を使っても塗材の骨材、塗付量、転圧の仕方で模様は変わります。
MR-AとMR-AEのどちらが安いですか?
メーカー掲載の設計価格は、300㎡以上・下塗材込み・下地調整費別という条件でMR-Aが2,520円/㎡、MR-AEが4,260円/㎡です。MR-AEには上塗り工程があります。自宅の工事費は、壁面積、補修、足場、養生、色と施工条件を入れた見積もりで比べてください。設計価格だけで税込総額は出せません。
マスチックAを塗ればひび割れ補修は不要ですか?
不要とはいえません。厚い塗材で表面の模様をつくっても、浮いた旧塗膜や漏水の原因は残ります。まずひびの幅・深さ・動き、水の侵入を調べ、必要な補修と下地処理を決めます。施工店には、マスチックAで覆う前の下地写真と、別途補修した場所を記録してもらいましょう。
防火認定はMR-AEでも使えますか?
メーカー製品ページの防火認定には「外部用艶消し」という条件が付いています。上塗りをした艶有りのMR-AEにそのまま適用できるとはいえません。防火性能が求められる建物では、選ぶ塗材、上塗り、塗付量、下地まで含めた認定仕様を施工店とメーカーに確認してください。
まとめ
マスチック塗材は、多孔質ローラーで厚く塗り、凹凸模様をつくる仕上げ材です。エスケー化研のエスケーマスチックAには、艶消しで主材を見せるMR-Aと、上塗りを重ねるMR-AEがあります。模様、艶、工程、メーカーの期待耐用年数の目安が異なります。
見積書では、旧塗膜とひびの診断、下地補修、シーラー、主材の面積と所要量、上塗りの有無、模様見本、足場を含む税込総額を比べてください。防火認定や設計価格は掲載条件の範囲で読み、採用する改修仕様に当てはまるか確認します。
「マスチック一式」を工程ごとに確認する
外壁塗装見積ナビで見積もりを比較するときは、希望するさざ波模様と艶を共有し、MR-A/MR-AE、下地補修、シーラー、主材、上塗り、面積、税込総額を各社に記載してもらいましょう。