下塗り材の製品名の読み方|EPシーラー・エポMシーラー・ケイカルシーラー
見積書の「下塗り」にEPシーラーやエポMシーラーと書かれていても、名前が似ているから同じ材料とは判断できません。関西ペイントの「EPシーラー 透明」は水性のアクリル樹脂エマルション系、「エポMシーラー」は弱溶剤の一液エポキシ樹脂系です。アレス水性ケイカルシーラーは主にけい酸カルシウム板の内装・準外部向け、ストップシーラーは内装のヤニ対策向けです。下地と上塗材が違えば、選ぶ材料も変わります。
この記事では製品名から分かる用途と、名前だけでは決められない条件を整理します。シーラー、プライマー、フィラーの一般的な役割は下塗り材の種類で確認してください。
下塗りの略称を正式な製品名に直す
外壁塗装見積ナビで見積もりを取る際は、施工店に外壁材と旧塗膜の診断結果、下塗材のメーカー・正式名、上塗材との組み合わせ、施工面積と回数を書いてもらいましょう。
EPシーラーの「EP」だけでエポキシ系と決めない
関西ペイントの公式製品説明書では、「EPシーラー 透明」はアクリル樹脂エマルション系の水性シーラーです。JIS K 5663「合成樹脂エマルションシーラー」に適合し、主な適用素材としてコンクリート、モルタル、スレート、石こうボードを挙げています。素地の吸い込み止めとアルカリを抑える機能を示しています。エポキシ樹脂の製品と読み違えないようにしてください。
同じ説明書には、脆弱なけい酸カルシウム板などへの含浸用には不適とあります。この場合は浸透形Mシーラーなど浸透性のよい製品を使うよう案内しています。したがって、「けい酸カルシウム板だからEPシーラー」と名前だけで決めることはできません。下地表面が粉化・剥離していないかも現地で調べる必要があります。
| 製品名 | メーカー資料にある主な性格 | 見積書で確認したい使用場所 |
|---|---|---|
| EPシーラー 透明 | 水性・アクリル樹脂エマルション系 | コンクリート、モルタル、スレート、石こうボードなど |
| エコカチオンシーラー | 水性・カチオン系 | モルタルやコンクリート、対応する旧塗膜など |
| エポMシーラー | 弱溶剤・一液エポキシ樹脂系 | モルタル、コンクリート、押出成形板など |
| アレス水性ケイカルシーラー | 水性・けい酸カルシウム板用 | 主に内装・準外部のけい酸カルシウム板など |
| ストップシーラー | 水性・ヤニ止め用 | タバコのヤニが問題になる内装の塗り替え |
表は関西ペイントの資料に示された代表的な性格です。どの製品も「この外壁材なら必ず使える」という一覧ではありません。外壁材に化粧層や工場塗装、光触媒などの特殊処理がある場合は、その面と上塗材の両方への適合を確認します。
エコカチオンシーラーは旧塗膜と上塗材を確認する
関西ペイントのエコカチオンシーラーは、水性のカチオン系シーラーです。公式カタログは新設下地にコンクリート、モルタル、石こうボード、ALC板などを、塗り替えの旧塗膜に弾性系仕上げ材、吹付タイル、リシン、エマルション塗料などを挙げています。上塗材にも複数の適用例が載りますが、すべての上塗材に無条件で組み合わせられる意味ではありません。
カタログは塗り替え時、劣化塗膜やチョーキング粉の除去と、残す塗膜の目粗しを求めています。カタログは、コンクリートブロックやALCのような吸い込みの著しい素材では、フィラーなどの下地調整が必要としています。「エコカチオンシーラー1回」とだけ書かれた見積書なら、下地調整を別に積んでいるか確認してください。フィラーの役割も判断材料です。
同カタログの標準仕様は刷毛・ローラーで0.13kg/㎡・回、無希釈、1~2回です。吸い込みが著しい素材には2回塗りを示しています。実際の使用量は素材の形状や傷みで変わるため、面積だけで缶数を固定せず、見積書の予定量と採用回数を聞きます。
エポMシーラーは一液の弱溶剤系
「エポMシーラー」は、関西ペイントがターペン可溶形一液エポキシ樹脂シーラーと説明する製品です。EPシーラー 透明とは樹脂も溶剤系統も違います。公式説明書には、モルタル、コンクリート、PC板、押出成形板、けい酸カルシウム板、石こうボード、窯業系サイディングボードなどの主な適用素材が載っています。ただし、旧塗膜の種類と付着状態を確認せず、素材名だけで採用を決めることはできません。
エポMシーラーの標準所要量は刷毛・ローラーで0.15kg/㎡・回、希釈率は0%とされています。塗装間隔の最短は23℃で16時間です。EPシーラー 透明の0.07~0.10kg/㎡・回、上水で0~50%希釈、23℃で最短2時間とは数値も異なります。現場条件で乾燥は変わるため、予定工程表が採用製品の説明書に合うか確認しましょう。塗料の希釈率と塗布量の見方も参照できます。
弱溶剤を使う工程では、施工場所と換気、周辺への臭気の影響も見積もり時に確認します。「一液」は硬化剤を現場で混ぜない形態を表します。下地の乾燥不足や汚れを省略できるという意味ではありません。水性と弱溶剤のどちらがよいかを一律に決めるより、現場の下地と上塗材に適合する塗装仕様を示してもらうことが大切です。
ケイカルシーラーとストップシーラーは用途を絞って読む
「アレス水性ケイカルシーラー」は、関西ペイントのけい酸カルシウム板用の水性下塗材です。カタログは内装および準外部の塗装を主な用途とし、新設のけい酸カルシウム板、コンクリート、モルタル、フレキシブル板などを適用素材に挙げています。標準仕様は刷毛・ウールローラーで無希釈、0.13~0.17kg/㎡・回です。けい酸カルシウム板という名前を含んでも、雨にさらされる外壁のあらゆる部位に使う製品だとは判断しないでください。
カタログには、乾式耐火被覆板などは塗装できないこと、改修時は旧塗膜が下地に密着していることが条件と書かれています。軒天や室内のボードで使う提案なら、ボードの種類と雨掛かりの有無、既存塗膜を確認します。外壁と軒天を一つの「下塗り一式」にまとめず、面積と製品名を分けてもらいましょう。
一方、「ストップシーラー」は水性の内装塗り替え用ヤニ止めシーラーです。メーカーのカタログには、タバコのヤニのブリード対策と、内装の旧塗膜への適用が記載されています。外壁全体の一般的な下塗材として提案されているなら、どの面の何の汚染を止めるためか理由を確認してください。ヤニ汚れのある部屋の壁と、屋外の窯業系サイディングでは、必要な下塗りの目的が異なります。
ミラクマウントはシーラーではなく複層塗材
検索語に「ミラクマウント」が並ぶことがありますが、これはエスケー化研のポリマーセメント系吹付タイルで、JIS A 6909の複層塗材CEに分類されます。シーラーのように下地と上塗りの間へ薄く塗る材料ではなく、模様をつくる複層仕上げの主材です。メーカーは適用下塗材として水性ミラクシーラーエコ、適用上塗材としてプリーズコートを挙げています。下地によって仕様が異なる場合もあると注記しています。
見積書に「ミラクマウント 下塗り」とだけ書かれている場合、主材を指すのか、下塗材の名前を省略したのか聞いてください。下塗り、主材、上塗りを分けて数量を記載してもらえば、別メーカーのシーラー1工程との誤った価格比較を避けられます。既存の吹付タイルを塗り替えるだけなのか、新たに吹付模様を形成するのかも工程と費用を分ける重要な条件です。
見積書では製品名より塗装仕様全体を照合する
製品の候補が決まったら、施工店ごとに同じ下地の情報を渡して比較します。必要なのは製品名だけではありません。旧塗膜が残せるか、洗浄後にどれくらい乾燥させるか、ひびや浮きをどう直すか、上塗材との組み合わせがメーカー仕様にあるかを確認します。
| 確認項目 | 見積書・現場写真でそろえる情報 |
|---|---|
| 部位と素材 | 外壁、軒天、内壁の区分と、モルタル・板材などの材質 |
| 旧塗膜 | 付着、粉化、浮き、汚れ、特殊加工の有無 |
| 下地調整 | 洗浄、除去、補修、フィラーなどの製品名と範囲 |
| 下塗り | メーカー・正式名、塗装回数、施工面積、予定使用量 |
| 仕上げ | 主材や中塗材、上塗材の正式名とメーカー仕様の組み合わせ |
| 記録 | 使用缶のラベル、工程写真、保証対象と税込総額 |
複数社で下塗材が違うときは、単価だけで優劣を決めず、それぞれが診断した下地の違いを聞きます。一社は旧塗膜を残し、別の会社は劣化した層を除去する提案なら、下地調整の手間も異なります。製品説明書の「主な適用素材」に名前があるだけで、傷んだ現場への密着まで保証されるわけではありません。
よくある質問
下塗り材の略称や数字は、メーカーと正式名を確認してから解釈します。似た名前の別製品や、同じ製品でも透明・白などの仕様違いがあります。
EPシーラーのEPはエポキシの略ですか?
関西ペイントの「EPシーラー 透明」は、公式説明書でアクリル樹脂エマルション系と記載されています。少なくともこの製品について、名前の「EP」だけを根拠にエポキシ樹脂系と判断するのは誤りです。エポキシ樹脂系を提案するなら、エポMシーラーなど正式な製品名と仕様を確かめてください。
EPシーラーとエポMシーラーは使い分けが必要ですか?
必要です。前者は水性アクリル樹脂エマルション系、後者は弱溶剤の一液エポキシ樹脂系です。標準所要量や希釈率、塗装間隔も異なります。下地材と旧塗膜、上塗材の組み合わせを各製品の説明書で確認してもらいましょう。価格だけで置き換えることはできません。
ケイカル板ならアレス水性ケイカルシーラーですか?
板の種類と設置場所、旧塗膜の状態で判断します。メーカーは内装・準外部を主な用途とし、乾式耐火被覆板などには塗装できないと示しています。軒天などで提案された場合は、雨掛かりの有無と上塗材を確認してください。EPシーラー 透明も脆弱なけい酸カルシウム板への含浸用には不適とされています。
ミラクマウントは下塗り材ですか?
違います。エスケー化研のポリマーセメント系吹付タイルで、複層塗材の主材です。メーカーは下塗材と上塗材を別に案内しています。見積書では「下塗り→ミラクマウントの主材→上塗り」の工程を分け、製品名と数量を確かめてください。
見積書に「下塗り一式」とだけある場合、何を確認しますか?
外壁・軒天などの部位ごとに、下地材と旧塗膜の状態、下塗材のメーカーと正式な製品名、塗装面積、回数、予定使用量を聞いてください。上塗材との組み合わせがメーカーの仕様に合うかも確認します。製品名だけで選ぶと、補修や吸い込み止めに必要な工程が見積書から読み取れません。
エコカチオンシーラーは何回塗りますか?
関西ペイントのカタログは、刷毛・ローラーで1回あたり0.13kg/㎡、無希釈で1〜2回塗る仕様を示し、吸い込みの著しい素材は2回塗りとしています。塗り替えでは、旧塗膜が付着力0.7N/mm²以上の活膜であることも条件です。見積書に「シーラー1回」とあれば、下地の吸い込みを見たうえでの回数か施工店に確認しましょう。
まとめ
EPシーラー 透明、エポMシーラー、エコカチオンシーラー、アレス水性ケイカルシーラー、ストップシーラーは、同じ下塗り材でも樹脂系、溶剤系統、用途が異なります。検索語に並ぶミラクマウントはシーラーではなく複層塗材の主材です。製品名を正確に書くことが、見積書の工程を読む第一歩になります。
外壁塗装では素材名に加え、旧塗膜の付着や吸い込み、補修、上塗材との適合を現場ごとに確認してください。下塗りの金額が安いかどうかだけでなく、必要な下地調整と予定使用量が計上されているか比べます。
下塗材を部位と工程に合わせて比べる
外壁塗装見積ナビで見積もりを集める際は、外壁・軒天・内壁ごとの下地、下塗材の正式名と回数、主材・上塗材との組み合わせ、補修費と税込総額を各社に記載してもらいましょう。