石目調・木目調サイディングの塗り替え|柄を残す判断
石目調や木目調のサイディングを塗り替えるとき、今ある柄を見せたいのか、新しい塗料で似た表情を作りたいのかを最初に決めましょう。透明なクリヤー塗装は既存の柄を見せますが、色あせや補修跡も隠しません。色付きの塗装は傷みを覆える一方、印刷された木目の線や石の細かな色の斑点は消えます。
この記事は、石や木を模した窯業系サイディングの塗り替えを対象にします。天然石を張った壁、天然木の板壁、石材調の吹付塗材は施工方法が異なるため、見た目だけで同じ工事として見積もらないでください。窯業系サイディング全般の工事時期と費用はサイディング塗装で確認できます。レンガ柄の板の塗り替えはレンガ調サイディングの塗り替えで扱い、この記事では石目と木目に固有の見え方を中心に説明します。
柄を残す範囲を写真で伝える
外壁塗装見積ナビで見積もりを依頼する際は、石目・木目の近景と建物全景を各施工店に渡しましょう。クリヤー、意匠を付ける塗装、単色塗装の完成像と補修範囲を同じ条件で比べてください。
「石目調」「木目調」は材質ではなく見た目の呼び方です
石目調は石の粒や割肌を、木目調は木の線や節を模した柄です。窯業系サイディングの表面には、成形した凹凸と工場で付けた色・印刷模様が組み合わされています。ニチハは、凹凸のある板にも多色の柄を印刷できる技術を紹介しています。したがって、見た目の木目が細かくても、板の凹凸まで同じ細かさとは限りません。
まず外壁材のメーカー・品番を図面や引き渡し資料で調べましょう。品番が分からないときは、施工店に端部、板の継ぎ目、外壁全景を見てもらいます。木のように見える軒天材や玄関の化粧材が外壁と混在している家もあります。部位と下地が違えば使う材料も変わるので、「木目部分を全部同じ塗料で」と一括せず、面ごとに記録してください。
塗装する前には、表面加工の有無も確認します。日本ペイントは、光触媒など高耐久加工を施した窯業系サイディングでは、一般的な下塗り材で十分な付着を得にくい場合があると説明しています。柄の種類だけで塗料を選ばず、採用する塗料の仕様と板の品番を照合する必要があります。光触媒サイディングの調べ方と下塗りの決め方は光触媒サイディングの塗り替えで説明しています。
既存の柄を残すなら、退色と傷みを先に見ます
透明なクリヤー塗装は、今見えている石の斑点や木目の線を塗りつぶさずに保護する方法です。ニチハは窯業系サイディングのメンテナンスで、既存の色や模様を残す塗り替えとして紹介しています。日本ペイントも、板の劣化が軽く、白い粉が付くチョーキングや割れがない状態を適用判断の目安に挙げています。
透明な塗膜では、南面だけ薄くなった木目、石目の欠けを埋めた跡、交換した板との色差が見えたままです。木目が退色した板にクリヤーを塗っても、工場で印刷された線が新しく描き直されるわけではありません。石目も同様に、失われた斑点や濃淡は戻りません。洗浄後の濡れ色で一時的に濃く見えることがあるため、仕上がりはメーカーの塗板と実壁の試験面で確認してください。
また、艶が出ると木目の自然な印象や石の落ち着いた印象が変わることがあります。クリヤーの種類と艶を製品名で確認し、日なたと日陰の両方で試し塗りを見ましょう。透明仕上げの適否や下地の条件は外壁のクリヤー塗装にもまとめています。
木目の線と石目の斑点は、色付き塗装では残り方が違います
単色や2色の塗装を選ぶ前に、外壁材メーカーの再塗装の指定も確かめましょう。ニチハは窯業系サイディングのメンテナンスで、モノカラー(単色塗装)品の場合にはエナメル塗料(有色塗料)で、多色塗装品の場合にはクリア塗料(透明塗料)で再塗装するよう案内しています。石目調・木目調の板が多色塗装品にあたる場合に色付き塗装を検討するときは、品番ごとの指定を施工店と外壁材メーカーに確認してください。
石目と木目を同じ「柄物」として塗り替えると、完成後の見え方を誤解しやすくなります。表面に何が印刷され、何が板の凹凸として成形されているかを近くで見ましょう。次の表は工法名より先に確認したい点を整理したものです。
| 現在の柄 | 単色で塗った後 | 2色・多彩仕上げで作れる表情 | 事前に確かめること |
|---|---|---|---|
| 木目調の細い線・節 | 印刷の色差は覆われ、成形された溝だけ陰影が残る | 凹凸を使った色差や新しい模様 | 線と節が印刷か凹凸か、木目の方向に沿って見えるか |
| 石目調の粒・斑点 | 色の粒は覆われ、深い凹凸だけ残る | 多色の粒状感や石に似た新しい濃淡 | 元の石目と粒の大きさ・色数がどこまで違うか |
| 石積み風の目地と段差 | 色分けは覆われ、深い目地なら形が残る | 凹凸を使った2色仕上げ | 板間シーリングと模様の目地を区別できるか |
エスケー化研は、サイディングの凹凸感を引き立てる2色での塗り替え工法として「エスケープレミアムTASAI工法」(同社の呼び名は窯業系サイディング多彩塗り替え工法)を、外壁用の多彩模様塗料として「エスケープレミアムマルチカラーⅡ」を案内しています。名前に「多彩」とあってもTASAI工法は2色で塗る工法で、多彩模様塗料とは別の製品です。見積書では工法名と塗料名を分けて確認してください。ただし、どちらも既存の印刷を復元するものではありません。木目の細い線が表面印刷だけで表現された平らな板では、2色塗りを選んでも線は描き直されません。石目の不規則な斑点も、塗料が作る別の模様へ変わります。
特に木目調は、玄関周りだけ縦張り、バルコニーだけ横張りなど、板の向きが外観の印象を作ります。色見本だけでなく、実壁の木目の方向と離れた位置からの見え方を確認しましょう。石目調では、窓下など近くで見る面と道路から見上げる面で、粒の細かさの印象が変わります。
板の補修と継ぎ目は、仕上げを決める前に確認します
板の欠け、反り、層の剥がれ、雨水による染みがあれば、透明か着色かを決める前に下地を調べます。塗装で直るのは主に表面の仕上がりで、板の形や内部の傷みは別の補修が必要です。とくに部分交換した板は、同じ商品が手に入らなければ石の粒や木目の幅が違って見えます。クリヤーならその差が残るため、交換範囲と仕上げ面を一緒に検討しましょう。
板間のシーリングは、印刷された石積み目地や木目の線とは別です。クリヤーでは目地材の色が透けて見え、単色塗装でもシーリングの動きで塗膜にひびが入ることがあります。施工店には、打ち替えの範囲、色、塗装との工程順を説明してもらってください。板の反りや浮きがある場合の対処はサイディングの反り・浮きを参照できます。
見積書では仕上がりの面と試し塗りを比べます
施工店が同じ「柄を残す」という言葉を使っても、既存の色を透かす提案と、凹凸を使って新しい模様を付ける提案では完成形が違います。各社へ同じ現況写真、残したい石目や木目の位置、変えたい色を伝え、面ごとに工法を並べてください。
| 比べる項目 | 見積書・提案書で確認すること |
|---|---|
| 外壁材の特定 | メーカー・品番、表面加工、塗料の適用下地 |
| 仕上げを分ける面 | 石目と木目の壁面積、軒天・付帯部との境界 |
| 柄の残し方 | 既存柄を透かすか、新しい2色・多彩模様へ変えるか |
| 板と継ぎ目の補修 | 反り・欠け・交換箇所、シーリングの工法と色 |
| 試し塗り | 実壁の場所、木目の方向、石目の粒、艶を誰が承認するか |
| 工事と費用 | 下塗り・上塗りの製品名と工程、足場・養生、税込総額 |
石目調の壁をクリヤーで、木目調の玄関周りを着色するといった混合案なら、それぞれの面積と切り替え位置を立面図で示してもらいましょう。塗り分けるほど養生や工程は変わります。「意匠塗装一式」では、どの面に何を塗り、補修跡がどう見えるか分かりません。試し塗りを見てから仕様を確定する手順も確認してください。
同じ柄の施工写真だけで判断するのは避けましょう。実物の板の凹凸、退色の程度、光の当たり方が違うためです。石目調なら粒と継ぎ目の近景、木目調なら線の方向と建物全景を、実際に採用する塗料で確認できる施工店かどうかが比較のポイントです。
よくある質問
柄を残す塗り替えでは、現在の色柄と板の凹凸を分けて考えると工法を選びやすくなります。判断できない箇所は、外壁材の品番と試し塗りで確かめてください。板の傷みや継ぎ目の補修が必要なら、柄の仕上げとは別の工事として見積もってもらいましょう。
石目調サイディングを単色で塗ると石の質感は残りますか
色の粒や斑点は覆われます。板に深い凹凸があれば陰影は残りますが、平らな印刷柄なら単色の壁に近い見え方になります。塗る前に、石らしく見える要素が色なのか凹凸なのかを近景で確認し、試験面を離れた位置からも見てください。目地の色が石積みらしさを作っている板では、目地まで同じ色にするかも試験面で確かめましょう。
木目調サイディングを塗装しても木目の線は見えますか
クリヤーなら今ある線が透けて見えます。色付き塗料を重ねると印刷された線は覆われ、成形された溝だけが残ります。細い木目がほぼ印刷で表現された板では、単色や2色塗りで同じ線を再現できないため、現物の凹凸を確かめましょう。玄関周りのように近くで見る場所は、板の方向に沿った線が残るかを試し塗りで見てください。
木目調の板の向きが面ごとに違う家では、何を確かめますか
木目の線は板の向きに沿って見えるため、縦張りと横張りが混在する家では、同じ塗料でも面ごとに印象が変わります。色見本を実壁と同じ向きに当てて比べ、試し塗りは縦張りと横張りの両方の面で行ってください。向きが切り替わる位置の見切り材やシーリングの色も、仕上げと合わせて確認しましょう。クリヤーの適否や下地の条件は外壁のクリヤー塗装で扱っています。
石目調の壁と木目調の玄関周りで、仕上げを変えられますか
面ごとに仕上げを分ける提案は検討できます。その場合は、石目調の面と木目調の面それぞれの面積、塗料名、工程、切り替える位置を立面図で示してもらいましょう。2色で塗る工法と多彩模様塗料は別の製品なので、どちらをどの面に使うかも見積書で分けて確認します。境目の養生と見え方は、試し塗りで両方の面が並ぶ位置を選んで確かめてください。
木目調サイディングと木製の軒天や化粧材は同じ塗料で塗れますか
見た目が同じ木目でも、窯業系サイディングと天然木や別素材の部材では、使える塗料と下地処理が異なることがあります。採用する塗料の適用下地に、各部材の素材が含まれるかを製品資料で確認してください。見積書では、外壁の木目調サイディングと軒天・玄関まわりの化粧材を別の行にし、それぞれの塗料名と工程を書いてもらいましょう。色をそろえたい場合は、素材ごとに試し塗りをして並べて比べます。
まとめ
石目調・木目調サイディングの塗り替えは、現在の柄を透かすクリヤー、新しい表情を作る2色・多彩、柄を覆う単色で完成像が変わります。木目の線や石目の斑点が色か凹凸かを見てから、残したい範囲を決めましょう。
見積書では外壁材の品番、仕上げる壁面、補修箇所、試し塗り、採用する塗料と工程をそろえて比べてください。板の傷みと目地の補修も、柄の仕上げとは分けて確認します。
柄の仕上がりと補修範囲を比較する
外壁塗装見積ナビで見積もりを取る際は、石目と木目の近景、退色した面、建物全景を添えてください。各社の工法、試し塗り、下地補修を含む税込総額を同じ表で比べられます。