水性クリーンタイトSiとは|低汚染の仕様と見積書の確認点
「水性クリーンタイトSi」は、エスケー化研の水性1液のシリコン樹脂系上塗り塗料です。超低汚染性を特徴としますが、雨の当たりにくい面や水切りのない部位まで、汚れが付かないという意味ではありません。また、名前の似た「水性弾性クリーンタイトSi」や「クリーンマイルドシリコン」は仕様が異なります。
この記事では、メーカーの製品ページと施工仕様書をもとに、何を塗り、どの面の汚れを抑えたいかを見積書で確認する方法を整理します。低汚染塗料全般の仕組みや選び方は低汚染塗料の記事で説明しています。
同じ外壁面と補修範囲で見積もりを比較
外壁塗装見積ナビで見積もりを依頼する際は、「水性クリーンタイトSi」の正式名、艶、下塗り材、塗る面積と回数を各社に示してもらいましょう。汚れが気になる窓下や軒下の現況写真も共有すると、塗装以外の対策が必要か確認できます。
水性1液の上塗りで、低汚染性と艶を分けて確認する
エスケー化研の製品ページは、水性クリーンタイトSiを「超低汚染セラミックハイブリッドシリコン樹脂塗料」としています。アクリルシリコン樹脂エマルションと超微粒のセラミック成分を組み合わせ、親水性の塗膜でばい塵などが付着しにくい仕組みを説明しています。製造元はエスケー化研です。
水性1液なので、上塗り材の主剤と硬化剤を現場で混ぜる二液品とは取り扱いが違います。ただし、1液なら下地処理や乾燥の確認が不要になるわけではありません。メーカーは下地に適した下塗り材の選定を求めています。艶有り、3分艶、艶消しがあり、艶消しに限って汎用塗料より水蒸気を通しやすいという説明もあります。透湿性を選定理由にする場合は、艶の指定まで揃えます。
| 製品ページの項目 | 公表内容 | 見積書で確かめること |
|---|---|---|
| 荷姿 | 16kg缶・4kg缶 | 塗装面積と予定缶数 |
| 標準塗坪 | 16kg缶で45~72㎡、4kg缶で11~18㎡ | 凹凸や吸い込みを踏まえた所要量 |
| 艶 | 艶有り、3分艶、艶消し | 希望する艶の正式な指定 |
| 希釈 | 清水 | 現場の施工方法と希釈条件 |
| 下塗り | 下地に応じて選定 | 製品名、適合、塗り回数 |
標準塗坪は一般的な目安で、窓を差し引いた外壁面積だけから正確な缶数は決まりません。凹凸が深い旧塗膜や吸い込みの強い下地では必要量が変わります。塗布量と缶数の確認方法も参考に、面積、所要量、予定材料を同じ表で見ます。
低汚染性が働きにくい場所を先に撮影する
低汚染性は、汚れの種類と雨水の流れに左右されます。メーカーの水性クリーンタイトSiシリーズの施工仕様書は、傾斜壁の下端、笠木などに水切りがない場所、窓周りの水切りが不十分な場所、目地下、雨の当たらない場所では低汚染性が十分に発揮されないことがあると注意しています。
たとえば窓下に縦の雨筋があるなら、壁に塗る製品の選択だけでなく、窓台や水切りから水がどこへ落ちるかを見ます。軒下は雨が当たりにくいため、雨水に汚れを洗い流してもらう効果を前提にできません。表面のかび・藻と、内部の漏水やシーリングの不具合も原因が違います。汚れの場所、落ち方、雨の日の状況を写真に残し、施工店に現地で確認してもらいましょう。
見積書に「超低汚染塗料」とだけ書かれていても、窓周りの水切り、目地の補修、雨樋の不具合は含まれません。雨筋の原因が建物の納まりにある場合は、どの部位を直す案か、塗装とは別の行にしてもらいます。汚れが再発したときの施工保証の対象も確認します。低汚染性は「清掃不要」の保証ではありません。
弾性タイプは中塗材を含む別の仕様
水性弾性クリーンタイトSiの製品ページでは、弾性タイプも水性1液ですが、通常品とは別の上塗り材と専用の中塗材が掲載されています。メーカーは、弾性系の主材を使う場合に躯体のひび割れへの追従性を示すと説明します。通常品の見積もりに「弾性」という言葉を追記しただけでは、同じ工程にはなりません。
| 比較項目 | 水性クリーンタイトSi | 水性弾性クリーンタイトSi |
|---|---|---|
| 液数・希釈 | 水性1液・清水 | 水性1液・清水 |
| 艶 | 艶有り・3分艶・艶消し | 艶有り・3分艶 |
| 製品ページの荷姿 | 上塗り材16kg・4kg | 上塗り材と中塗材を各16kg・4kg |
| 公表設計価格 | 3,020円/㎡ | 3,300円/㎡ |
| 期待耐用年数 | 14~16年 | 14~16年 |
両価格は複層塗材の上塗りに用いる場合で、300㎡以上を基準とする材工共、下地調整費別の設計価格です。280円/㎡の差を、戸建てで弾性工事を追加する差額と見なせません。下塗り・中塗り・主材、ひび割れ補修、足場の範囲を合わせた税込総額で比較します。
既存のひび割れを弾性塗料だけで埋めてよいわけでもありません。ひびの幅や動き、雨水侵入の有無、旧塗膜の種類を施工店に調べてもらい、補修方法と中塗材・上塗り材の正式名を分けて記載します。メーカーのカタログは弾性系の旧塗膜に弾性タイプを使う仕様を示す一方、高弾性の旧塗膜には適用できない場合があると注意しています。既存塗膜が何か分からないまま製品だけを指定しないことが大切です。
クリーンマイルドシリコンは弱溶剤2液
クリーンマイルドシリコンの製品ページは、これを弱溶剤2液のシリコン樹脂系塗料としています。主剤と硬化剤を混合し、塗料用シンナーAで希釈します。製品ページの適用下地には、コンクリートやモルタル、ALC、各種サイディングのほか、鉄部などの金属も挙がります。ただし、金属部には素材や錆の状態に合う下塗りを別に確認します。
通常の水性クリーンタイトSiとクリーンマイルドシリコンは、どちらも低汚染性をうたう製品ですが、希釈材、混合、下地の選定、艶が違います。後者の艶は艶有り、7分艶、5分艶、3分艶で、メーカーの期待耐用年数は12~15年です。水性品の14~16年を同じ製品の年数として転記しないでください。メーカー設計価格は3,180円/㎡ですが、こちらも複層塗材の上塗りに用いる場合の、300㎡以上を基準とする材工共・下地調整費別の値です。
施工店から両方を提案されたら、「どちらが上位か」という言い方だけで選ばず、この外壁の旧塗膜と付帯部にそれぞれどう適合するかを聞きます。窓が開けにくい住宅や近隣との距離が近い現場では、弱溶剤品の施工時の臭いと換気方法も確認してください。水性品でも塗装中の臭いがゼロになるわけではありません。
下地と艶で施工仕様が変わる
メーカーの施工仕様書は、新築の平滑なモルタル・コンクリート、改修時のリシン・吹付タイル、弾性系の旧塗膜などを分けています。たとえば、通常品を使う改修の仕様例では、傷んだ旧塗膜の除去や段差補修、高圧洗浄、下塗り、上塗り2回を示します。「3回塗り」の総回数だけでは、補修量や下塗りの適合、上塗りの所要量は確認できません。下塗り材の違いも参照しながら、現場の仕様を確認します。
艶消しには個別の注意があります。メーカーのカタログでは、通常品の艶消しを使う場合、下塗り候補の一つであるエスケー弾性プレミアムフィラーは適用外とされています。艶を決めてから、採用する下塗り材との組み合わせを照合しましょう。また、濃色の艶調整品はローラーの塗り継ぎで艶むらが出やすいため、試験施工を勧めています。色と艶を見本板だけで決めず、日当たりや大きな壁面での見え方も相談します。
高断熱型窯業系サイディングや発泡ウレタンなどを用いた高断熱型外壁では、メーカーが蓄熱や水分、下地、施工環境の条件によって膨れ・剥がれ等が起こる可能性を示し、採用前に営業所へ相談するよう求めています。該当する外壁材なら、施工店に材種とメーカーの適用可否を確認してもらいましょう。外壁材が未確認のまま「サイディングなら塗れる」と一括りにしないことが重要です。
見積書では汚れ対策と塗装工程を分ける
同じ製品名を使う二社でも、汚れの原因への対応、補修面積、下塗り、艶の選び方が違えば、完成後の状態と費用は変わります。各社には現況写真と希望する艶・色を同じ条件で渡し、次の項目を分けて示してもらいましょう。
| 確認項目 | 見積書・説明に必要な内容 |
|---|---|
| 汚れの原因 | 窓下、笠木、軒下、目地下の位置と、水切り・雨樋・目地の対策 |
| 下地と補修 | 外壁材、旧塗膜、ひび・剥離・シーリングの補修範囲 |
| 塗料 | 水性クリーンタイトSi、弾性品、クリーンマイルドシリコンの正式名、色と艶 |
| 塗装仕様 | 下塗り材とその適合、弾性仕様の中塗材・主材、各工程の回数と乾燥 |
| 数量 | 壁面積、標準所要量、予定缶数、追加材料の扱い |
| 費用と保証 | 洗浄、補修、水切り、足場、付帯部を含む税込総額と保証対象 |
契約後の材料確認には、搬入した缶のラベルと工程ごとの写真が役立ちます。塗料の正式名、艶、色番号、下塗り材が見積書と一致するか確認する方法を施工店と決めておきましょう。防汚性能は雨の当たり方に左右されるので、保証に「汚れが付かない」といった説明がある場合は、対象となる現象と除外条件を契約書で確かめます。
よくある質問
水性クリーンタイトSiの耐用年数は何年ですか?
メーカーの期待耐用年数は14~16年です。次の塗り替えを考える目安で、16年間の性能保証ではありません。立地、方角、既存塗膜や下地の状態、施工条件で変わります。施工店の保証期間と保証対象は別に確認してください。
艶消しでも低汚染性はありますか?
メーカーは通常品の艶消しにも低汚染性を示し、汎用塗料より透湿性が高いと説明しています。ただし、艶消しでは採用できない下塗り材があり、雨の当たらない面などでは低汚染性が十分に働かない場合があります。艶と下塗りを一組で指定し、気になる汚れの位置を現地で確認します。
弾性タイプなら雨漏りを直せますか?
弾性主材と組み合わせる仕様にはひび割れ追従性がありますが、既存の割れや雨水の入口を調べずに上塗りする根拠にはなりません。漏水原因と補修範囲を先に確認し、中塗材・主材・上塗りの仕様を見積書に分けてもらってください。
クリーンマイルドシリコンと同じ塗料ですか?
別製品です。水性クリーンタイトSiは水性1液で清水希釈、クリーンマイルドシリコンは弱溶剤2液で塗料用シンナーA希釈です。艶の種類、適用下地、期待耐用年数も異なります。略称ではなく正式名で見積書を比較してください。
水性クリーンタイトSiは高断熱型のサイディングにも塗れますか?
エスケー化研は、軽量モルタル、ALC、高断熱型の窯業系サイディングや発泡ウレタンを使った高断熱型の外壁では、膨れや剥がれが起こることがあるとして、採用前に営業所へ相談するよう求めています。自宅の外壁材が分かれば施工店に伝え、メーカーへの確認を済ませた仕様かを見積もりの段階で聞いておきましょう。
まとめ
水性クリーンタイトSiは、エスケー化研の水性1液・超低汚染シリコン樹脂系塗料です。親水性の塗膜による低汚染性を特徴としますが、雨が当たらない場所や水切りのない場所では効果が十分に出ないことがあります。艶消しを選ぶ場合は下塗りの適合にも注意が必要です。
通常品、弾性品、クリーンマイルドシリコンは別仕様です。メーカーの期待耐用年数と設計価格の条件を踏まえ、汚れの原因、下地補修、塗装工程と材料数量を同じ条件で比べましょう。
製品名だけでなく汚れの原因と工程を揃える
外壁塗装見積ナビで見積もりを取る際は、汚れの位置を示し、正式な製品名・艶・下塗り・弾性仕様の中塗材、補修と水切りの工事範囲、税込費用を各社に記載してもらいましょう。