ダンツーコートとは|ダンツーキャストとの違いと見積書の見方
外壁の見積書に「ダンツーコート」とある場合、それは塗り重ねる仕上げの一式を指していることがあります。エスケー化研の標準仕様では、下塗材、ダンツーコート主材の基層と模様、上塗材を組み合わせます。上塗りの製品名だけでは、塗膜の厚さや模様、防水形複層塗材としての工事内容は分かりません。
似た名前の「ダンツーキャスト」は別製品です。この記事では両者の違いと、吹放し・凸部処理・ローラー仕上げごとの確認点を整理し、複数社の見積書を比べる方法を説明します。外壁の小さなひびの補修判断は外壁のひび割れの記事も参考にしてください。同じエスケー化研の防水形複層塗材のうち、レナエクセレントとの違いはレナエクセレントの記事で整理しています。
下塗り・主材・上塗りを分けて見積もる
外壁塗装見積ナビで見積もりを取る際は、各社に「ダンツーコート一式」の内訳として、下地補修、下塗材、主材の施工回数、上塗材、仕上げ模様、面積を記載してもらいましょう。
ダンツーコートは防水形複層塗材の主材を含む仕上げ
ダンツーコートの製造元はエスケー化研です。メーカーは透湿弾性吹付タイルと説明し、JIS A 6909の防水形複層塗材Eに位置付けています。主材の主要成分は弾性アクリル樹脂エマルションです。コンクリート、モルタル、ALCパネル、各種サイディングボードなどを適用下地に挙げていますが、既存塗膜が傷んだ面に下地処理なしで施工できるという意味ではありません。下塗り・主材・上塗りを重ねる吹付タイル全般の構成と塗り替えの考え方は、吹き付けタイル外壁の塗り替えで説明しています。
メーカーは、主材の弾性による微細なひび割れへの追従、透湿性、コンクリートの中性化抑制を特長にしています。ただし、雨漏りの原因を調べずに上から塗れば止まると読み替えないでください。大きく動くひび、シーリング目地、下地からの水の侵入は別に調査・補修が必要です。既存のリシン外壁の塗り替えなどでも、元の模様や旧塗膜の付着を確認してから仕様を選びます。
透湿性も下地との組み合わせで考えます。メーカーのカタログは、ダンツーコートとダンツーキャストの透湿性が有効に働くのは下地に透湿性がある場合と注記しています。見積書に「透湿防水」と書かれていても、既存塗膜を含む壁全体の構成を確認しましょう。
ダンツーキャストとは主材とJIS区分が違う
ダンツーキャストは同じエスケー化研の防水形複層塗材ですが、メーカーは「反応硬化形高弾性透湿壁面防水化粧材」と説明し、JIS A 6909の防水形複層塗材REに分類しています。キャストの主材は主剤と硬化剤を混ぜる二液形です。ダンツーコートの主材と名前だけ入れ替えて同じ仕様として扱えません。
| 製品・主材 | メーカーの区分 | 代表的な施工方法 | 見積書で確かめる点 |
|---|---|---|---|
| ダンツーコート | 防水形複層塗材E | 吹付け | 下塗り、主材の基層・模様、上塗りの製品名 |
| ダンツーコートローラー用 | 防水形複層塗材E | ローラー | ゆず肌状の仕上げと主材の所要量 |
| ダンツーキャスト | 防水形複層塗材RE | 吹付け | 二液形主材の混合、基層・模様、上塗り |
| ダンツーキャストローラー用 | 防水形複層塗材RE | ローラー | 二液形主材の混合、ゆず肌状の模様 |
吹付けとローラーは、単に道具を変えるだけではありません。メーカーはそれぞれの施工用の主材を別に用意し、標準塗坪や工程を分けています。隣家や車への飛散が気になる場合は、吹付けの養生計画とローラー仕様で得たい模様の違いを施工店に聞きましょう。「ローラーなら同じ主材で代用できる」とは判断しません。
下塗り・主材・上塗りの組み合わせを確認する
エスケー化研の新規下地・吹放し仕上げの標準例では、下塗り→主材の基層塗り→主材の模様塗り→上塗りの順で施工します。ダンツーコート主材の基層と模様は、同じ主材でも所要量と道具が異なります。メーカーの吹放し仕上げの標準塗坪は主材20kg缶で8~11㎡です。これは主材だけの標準値で、壁の凹凸や下地の状態によって変わります。
上塗材にも種類があります。製品情報は「水性ダンツーコート上塗材」と「水性ダンツーコート上塗材Si」を挙げています。カタログには別の上塗り仕様も掲載されていますが、何を選んでも同じ耐候性や透湿性になるわけではありません。下塗り・主材・上塗りをメーカーが示す組み合わせとして選び、見積書に正式名を一行ずつ書いてもらいましょう。
下塗りの例は水性ミラクシーラーエコですが、メーカーは下地によって仕様が異なると注記しています。カタログは押出成形セメント板、GRC板、PC部材にはエポキシ系シーラーの候補を挙げ、軽量PC部材への施工を避けるよう示しています。ALCなど吸い込みの大きい壁は下地調整も要ります。シーラー・プライマー・フィラーの違いを踏まえ、現場に選んだ下塗材の根拠を聞いてください。
防水形の主材を厚く塗る提案なら、窓まわりや目地の仕上げも確認します。メーカーはシーリング材の種類・材齢によって上に塗った膜が密着しない、または汚れることがあると注意し、大きな動きが予想される目地では塗膜が割れる可能性を挙げています。シーリングの打ち替え範囲と塗装する範囲を分けてください。コーキング打ち替えの数量も見積書で照合できます。
価格と期待耐用年数は上塗りと面積の条件付き
ダンツーコートの公式製品ページにある吹放し仕上げの設計価格は6,000円/㎡です。これは水性ダンツーコート上塗材と下塗材を含む、300㎡以上を基準にした材工共の価格で、下地調整費を含みません。下地補修や足場、養生、シーリング、付帯部を含む戸建ての税込総額を表す価格ではありません。ローラー仕上げや別の上塗材を選ぶ見積書に、そのまま当てはめないでください。
メーカーの期待耐用年数は8~15年(上塗材による)です。次の塗り替え時期の参考値であり、立地や方角でも変わります。ダンツーキャストの公式製品情報では8~20年(上塗材による)とされますが、製品名と上塗材を指定せずに上限の年数だけ並べても比較できません。施工保証の対象と期間も別に確認します。
仮に二社で価格差がある場合、一方が吹放し、もう一方がローラー仕上げかもしれません。上塗材がSiか、下地調整を含むか、施工面積が同じかも確かめてください。㎡単価の差を判断する前に、どの層と工事を含む単価かをそろえる必要があります。
見積書は防水形複層塗材の各層で比べる
「ダンツーコート一式」の一行を見たら、まずコートかキャストか、吹付けかローラーかを確認します。次に下地調整、下塗り、主材の基層と模様、上塗りへ分解します。どの層が欠けても、同じ仕様を比較したことにはなりません。
| 比較項目 | 各社に示してもらう内容 |
|---|---|
| 下地 | 外壁材、旧塗膜の浮き・ひび、ALCなどの吸い込み、補修写真 |
| 工法 | コート/キャスト、吹放し/凸部処理/ローラー、仕上げ模様 |
| 材料 | 下塗材、主材、上塗材の正式名と組み合わせ |
| 数量 | 部位別の面積、主材と上塗材の所要量・回数 |
| 周辺工事 | シーリング、窓の養生、吹付け時の飛散対策、足場 |
| 費用と保証 | 下地調整を含む税込総額、塗膜とシーリングそれぞれの保証 |
「防水」という表現があっても、雨漏り原因の調査や大きなひびの補修は別に必要です。防水形の塗装と雨漏り調査の関係は外壁塗装の防水塗料で説明しています。下地の補修が異なる二社なら、材料価格だけでは判断できません。主材の使用量を比べる際も、吹放しと小粒・ローラーでは標準塗坪が違うため、施工方法をそろえて外壁塗装の塗布量を確認します。
よくある質問
ダンツーコートとダンツーキャストは、似た名前でも主材とJIS区分が異なります。見積書では「ダンツー」だけでなく、工法と各層の材料を確かめてください。
ダンツーコートはどこのメーカーの製品ですか?
エスケー化研の製品です。公式ページではJIS A 6909の防水形複層塗材E、透湿弾性吹付タイルとして掲載されています。同社のダンツーキャストやローラー用主材とは別の製品なので、見積書に「ダンツー」とだけあれば正式名を聞いてください。下塗材、主材、上塗材も組み合わせて初めて施工仕様を確認できます。
ダンツーコートとダンツーキャストは何が違いますか?
コートは防水形複層塗材Eで弾性アクリル樹脂エマルションを主材に用い、キャストは防水形複層塗材REで二液形の反応硬化形高弾性主材を用います。メーカーの標準工程や塗坪も違います。単に「キャストのほうが必ず防水性が高い」と決めず、下地の状態と必要な模様・工程を施工店に説明してもらいましょう。
ダンツーキャストローラー用は吹付け品と同じですか?
同じダンツーキャストの系統ですが、ローラー用はゆず肌状ローラー仕上げのための主材として掲載されています。製品情報が示す適用下塗材はダンツーシーラーで、下地により仕様が異なる場合があるとされています。吹付け品と施工方法や所要量が異なるため、見積書で「キャスト」とだけ省略しないでください。吹付けによる飛散が気になる場合は、養生の計画とローラー仕様の仕上がり見本を両方確認しましょう。
ダンツーコートの設計価格はいくらですか?
メーカーの吹放し仕上げの設計価格は6,000円/㎡です。水性ダンツーコート上塗材と下塗材を含む300㎡以上の材工共価格で、下地調整費は含みません。戸建ての面積や補修条件にそのまま掛け算して総額を出す値ではありません。吹付け・ローラーの違い、足場・シーリング・養生を含む範囲を見積書で確認してください。
ダンツーコートの耐用年数は何年ですか?
公式製品情報の期待耐用年数は8~15年で、上塗材によって異なります。メーカーはこれを次回塗り替え時期の目安とし、地域、立地、方角によって変わる参考値としています。見積書には上塗材の正式名と施工保証の対象・期間を別々に書いてもらい、年数の上限だけで材料を決めないようにしましょう。
ダンツーコートの透湿性はどの下地でも働きますか?
メーカーのカタログは、ダンツーコートとダンツーキャストの透湿性について、下地に透湿性がある場合のみ有効に機能すると注記しています。「透湿」の表示だけで、どの壁でも湿気が抜けると判断することはできません。施工店には外壁材と既存塗膜をどう確認し、その壁で透湿性を見込める根拠が何かを聞いてください。見積書の「透湿防水」の記載も、下地の構成と一緒に確認しましょう。
まとめ
ダンツーコートはエスケー化研の防水形複層塗材Eです。ダンツーキャストは防水形複層塗材REで、主材と標準仕様が異なります。見積書はコート/キャスト、吹付け/ローラー、下塗り・主材・上塗りを分けて確認してください。
メーカーの設計価格と期待耐用年数は、施工面積や上塗材などの条件付きです。外壁の傷みを確認し、下地補修、シーリング、模様、施工面積、税込総額、保証を同じ表で比べましょう。
「一式」の内訳をそろえて比較する
外壁塗装見積ナビで見積もりを集めるときは、下地診断と補修、下塗材・主材・上塗材、工法、面積、税込総額を各社に明記してもらいましょう。